特徴・ポイント
ボルドーでも歴史の長いネゴシアンのひとつに数えられるカルベ(Calvet)。ぶどうやワインを買い付けて自社ブランドのワインを生産する業者を「ネゴシアン」と呼ぶが、カルベは買い付け先の農家や生産者に最新技術を紹介・指導する異色のネゴシアンだ。
その姿勢から、農家や生産者の信頼を得られるように。優れたぶどうやワインがカルベに集まるようになり、カルベブランドのワイン品質を高めてきた。
ワインづくりのこだわり
ぶどうの気品ある香りがダイレクトに出る最高品質のワインづくりをモットーとしている。
フランスのワイン会社としては初めて、ワイン醸造技術研究所を設立。同研究所で常に新たなワインをつくり出す研究を続け、高品質なワインづくりに努めている。
代表的なワイン
カルベ レゼルブ デ バロン 赤
メルローやカベルネ・ソーヴィニヨンを使用したミディアムボディの辛口赤ワイン。渋みとともにカシスやブラックチェリーのようなフレッシュなフルーティーさを感じられる。なめらかな酸味とコク、しっかりとしたタンニンが生きている。
ソーヴィニヨン・ブランやセミヨンを使った甘口の白ワインタイプもラインアップされている。
カルベ シャブリ
切れのよい味わいにミネラル感のある辛口白ワイン。柑橘系の爽やかさに熟したフルーツの香り、樽由来のバニラが漂う。複雑な香りと力強さ・繊細さを併せ持ち、深い味わいが魅力。
カルベ メドック
カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、メルローなどの厳選したぶどうを使用。柔らかな口当たりで程よいタンニンが残るワインだ。奥深い味わいと赤い花のような深い香りが特徴になっている。
ワイナリーの歴史
カルベは、1818年にフランス・ローヌ地方で創業。前述のように、ぶどうやワインを買い付けるだけでなく、最新技術を紹介・指導したことから農家や生産者から信頼を集めるようになり、ボルドーでも一目置かれるネゴシアンとなる。
先に触れたワイン醸造技術研究所を設立したのは1926年のこと。同研究所からは、「ボルドーワインの父」と称され、醸造学の権威であるボルドー大学のジャン・リベロ=ガイヨン教授とエミール・ペイノー博士を輩出している。
そのペイノー博士がカルベで技術指導をしていたのは、20才前後のころ。そのことからも分かるように、若者にチャンスを与えるのがカルベの伝統であり理念とも言われている。
そして1997年には、醸造責任者として当時弱冠31才の女性醸造家であるパス・エスペホ氏を迎えた。エスペホ氏はロンドンの「インターナショナル ワイン&スピリッツコンペティション」で7つの賞を受賞した醸造家。彼女が責任者となって以降、それまでの力強さにエレガントさが加わったと評価されるようになった。