ポマールの気候・風土
ポマール(Pommard)は、中央にデューヌ川がつくりだした谷があり、谷を境として南北それぞれに丘陵が広がる地形だ。
この南北の丘陵は、土壌の面でも違いがある。南側区画のレ・リュジアン、レ・シャンラン、レ・プチュール、レ・ジャロリエール、レ・フルミエなど、ヴォルネイ村に接する地域の土壌は、赤みを帯び、鉄とミネラル分が豊富。小石や粘土が多い泥炭土や褐色石灰岩質の土地だ。
ボーヌ村に近い北側区画のレ・ゼプノ、レ・ペゼロール、レ・ザルヴレ、レ・ザルジリエール、レ・クロ・ド・ラ・コマレーヌ、ラ・ルフェーヌ、クロ・ブランは、粘土、石灰、酸化鉄の混じる泥炭土や褐色石灰岩質の土壌となっている。
ポマールにあるぶどう畑の中では、レ・ゼプノ、リュジアンなどの1級畑が有名。
ポマールのワインの特徴
ポマールの赤ワインは、アメリカをはじめ世界中で人気。60年代のアメリカでは、ブルゴーニュワインの代名詞にもなったほどだ。
熟成期間4~10年が飲みごろと言われ、長期熟成に耐える豊富なタンニンを持ったワインならではの楽しみ方の多様さも魅力だ。熟成初期のうちにはフローラルなピノらしい赤果実のアロマを楽しめる。ローズとシャクヤクがほのかに香るような、ふっくらとした口当たりが特徴だ。
つくられるワインの味わいも南北で違いがある。南側区画でつくられる赤ワインは、男性的な香りの強いタニックなもの。北側地区でつくられる赤ワインは、しなやかさのある女性的なバランスの良い妙味が味わえる。
“Ch?teau de Pommard 081” by Arnaud 25 – Own work. Licensed under CC BY-SA 3.0 via Wikimedia Commons.
一押しのワイナリー/当たり年
ポマール(Pommard)の生産者のうち、各方面にて高い評価を得ている作り手として、ドメーヌ・パラン(Domaine Parent)、ルイ・ラトゥール(Louis Latour)、ドメーヌ・ミシェル・カイヨ(Domaine Michel Caillot)、ドメーヌ・ルロワ(Domaine Leroy)、ドメーヌ・デュ・コントアルマン(Domaine du Comte Armand)、ミッシェル・ゴヌー(Michel Gaunoux)、ジャン・ミシュロ(Jean Michelot)、シャトー・ド・ポマール(Chateau de Pommard)、ドメーヌ・ド・モンティーユ(Domaine de Montille)、ドメーヌ クルセル(Domaine de Courcel)などが挙げられる。
また、プルミエ・クリュ(Premier Cru)に格付けされる代表的な畑は、レ・グラン・セプノ(Les Grands Epenots)、レ・プティ・セプノ(Les Petits Epenots)、クロ・ド・ラ・コマレーヌ(Clos de La Commaraine)、クロ・ブラン(Clos Blanc)、レ・ソーシーユ(Les Saussilles)、レ・フルミエ(Les Fremiers)、レ・リュジアン・バ(Les Rugiens-Bas)、レ・リュジアン・オー(Les Rugines Hauts)、レ・クロワ・ノワール(Les Croix Noires)などだ。
ブルゴーニュのワインは2009年、2008年、2007年、2006年、2005年、2004年、2002年、1996年、1995年、1992年、1989年の出来が良いと評価される。作り手やヴィンテージにもよるが、長期熟成が可能で資産価値も高いことから、3000円台から数万円まで幅広い価格・値段にて販売されている。
エピソード
ポマールのワインは、ブルボン朝初代のフランス国王アンリ4世が愛飲し、ワイン愛好家のナポレオンが定期的にポマール城に訪れるほどだったと言われている。1080年ウード1世の時代に、ブドウの育成をベネディクト会修道士たちが始めたのがきっかけで、その後に「真紅のワイン」という名の「ヴァン・ヴェルメイユ」が誕生したという。
18世紀以降には「シャトー・ド・ポマール」と呼ばれるようになり、1855年にはブルゴーニュワインの格付けで「一級」の称号が与えられ、公に優れたワインと認められるようになった。
ポマールの代表的なワイン
ポマール・レ・ゼプノ
ポマール レ・ゼプノ・ドメーヌ クリストフ ヴィオロ ギルマール
ルイ・ジャド・ポマール・レ・ゼプノ
ポマール・プルミエクリュ・レ・ゼプノ
アーノンヴィル ポマール・プルミエクリュ・レ・ゼプノ
ドミニク・ラフォン ボーヌ 1er レ・ゼプノ
ポマール・レ・リュジアン
ポマール・プルミエクリュ・レ・リュジアン
ルイ・ヴィオラン・ポマール・1級・レ・リュジアン
フォンテーヌ・ガニャール / ポマール・プルミエ・クリュ・レ・リュジアン