シノンの気候・風土
シノンは、パリの南西、トゥールから50kmほど離れたところにあるワイン産地。全長1000km以上に及びフランス最長のロワール川流域にある。
ロワール川流域は「ヴァル・ド・ロワール」と呼ばれ、ワインの名産地が広がっている。シノンは、支流のヴィエンヌ川がロワール川に合流する付近に位置し、ヴィエンヌ川沿いでぶどうを生産している。
この地域は緩やかな丘陵地帯で、斜面は日当たりが良い。土壌の大方は砂利混じりの砂地で、石灰岩土壌のところもある。
気候は海洋性気候。冬は寒く降雨量が多く、夏は暑く乾燥する。
シノンのワインの特徴
シノンではカベルネ・フラン種から醸造する赤ワインが伝統を守りながら生産され、ロワール川流域で最も優れたワインの1つとされている。
濃いルビー色のシノンの赤ワインは、カベルネ・フランの味が最大限引き出されている。タンニンが十分含まれ、酸味も程よく、独特のコクある味が楽しめる。
フランス・ルネサンスを代表する人文主義者であるラブレーは、シノンを故郷として、シノンの果実香溢れる赤ワインをこよなく愛したといわれている。
シノンでは、カベルネ・フランとカベルネ・ソーヴィニヨンが生産量の95%を占め、赤ワインの醸造が圧倒的に多い。一方で、シュナン・ブランからつくった白ワインやロゼも少量ながら生産されている。
エピソード
ロワール川流域は、良質なワインの生産地としてばかりか、古城などの史跡が多いことでも知られている。シノンにもジャンヌ・ダルクで有名なシノン城があり、また、美しい景観にも恵まれていることなどから、観光も盛んである。
2000年には、シノンを含む、ロワール川流域の3分の2弱の地帯がユネスコの世界遺産に登録され、歴史と芸術の宝庫であるロワール川流域の普遍的価値が国際的に認められた。