サルデーニャ

カンノナウ・ディ・サルデーニャワインの特徴とは

   

カンノナウ・ディ・サルデーニャは、イタリアのサルデーニャ島で醸造されるDOC赤&ロゼワインだ。カンノナウはグルナッシュ、ガルナッチャと同一品種で、しっかりとした味わいの果実味豊かなワインが作られる。

気候・風土

カンノナウ・ディ・サルデーニャ(Cannonau Sardegna)は、イタリア・サルデーニャ州のワインだ。サルデーニャ島のぶどう、カンノナウ(グルナッシュと同一品種)からつくられる赤とロゼワインが該当する。

1972年9月にD.O.Cに指定されているが、カンノナウ種はサルデーニャ島全域にて栽培されているため、D.O.C指定を受けているのは島全域となり、島で生産されるワインの5本に1本がカンノナウ・ディ・サルデーニャだ。

コルシカ島の南に位置するサルデーニャ島はもともと火山が隆起してできた島のため、火山性土壌を含む花崗岩質の土壌、石灰質土壌、粘土質の土壌が多く見られ、カルシウムやカリウムなどの栄養を豊富に含んでいる。地中海性気候で年中通して気温が高く、特に夏季はアフリカ方面から吹く強い風によって乾燥している。山岳丘陵地帯が多く、斜面の向きや傾斜によってミクロクリマが発生する。年間平均降雨量は700mm前後だ。

サルデーニャでは、支柱を使わず枝を巻きつけるアルベレッロという仕立てが行われている。またピエーデ・フランコという、接木を使わない栽培技術もサルデーニャのぶどう栽培における大きな特徴だ。

カンノナウという名称はサルデーニャで主に使われるが、フランスのグルナッシュやスペインのガルナッチャと同一品種である。
中世に地中海沿岸を支配していたアラゴン王国発祥と言われ、まずフランスへ渡りそれから世界に広がったとされてきた。しかしここ近年、この偉大なぶどうがサルデーニャ原産であるという証拠が見つかったというイタリア人研究者の学説がある。その真相については未だ議論の的だ。

Cannonau di Sardegna

ワインの特徴

カンノナウ・ディ・サルデーニャを名乗るワインは、DOCにより原料にカンノナウ種を90%以上含むこと、アルコール度数が12.5%以上という規定がある。

ワインの多くは島の東半分、ヌオロやオリアストラ、カリアリ地方にて生産される。中でも、ネペンテ・ディ・オリエーニャ、カポ・フェラートといったサブ・リージョンが有名。

熟成はオーク樽によって行われ、ベリーやカシスといった赤い果実を思わせるアロマに、柔和なアタックから豊かな果実味が次第に広がるのが特徴だ。
24ヶ月以上熟成するリゼルヴァタイプのワインもある。こちらは赤い果実の中に、スミレなどの花を思わせるアロマが特徴だ。長期間熟成ならではの、深い赤色に力強い味わいを備えた辛口ワインとなっている。

ワインの中には、22~24度ぐらいの温度でマセラシオン(漬け込み)が行われるものもある。こうした技法は、イタリアワイン以外では主にブルゴーニュで見られる。

Cannonau Sardegna, Pala

一押しのワイナリー/当たり年

サルデーニャ州の生産者のうち、各方面にて高い評価を得ている作り手として、セッラ・エ・モスカ、デットーリ、カンティーナ・サンタディ、テヌーテ・ソレッタ、サルドゥス・パーター、カンティナ・アルジオラス、カピケーラ、ピエロ・マンチーニ、モンテルーナなどが挙げられる。

イタリア中西部のワインは、2008年、2007年、2006年、2005年、2001年、2000年、1999年、1997年の出来が良いと評価されている。サルデーニャのものは近年注目度が上がり、コンクールなどで受賞するワインも多いが、比較的安めの価格・値段で入手することができる。

2008 Sella & Mosca Cannonau di Sardegna D.O.C.

エピソード

サルディーニャ島の人々は寿命が長い。90代まで生きる人が多く、100歳を超えた人も珍しくない。この地の人が100歳まで生きる確率は、世界の他の地域の3倍という。

その理由は諸説あるが、主に 1. オリーブオイルの生活習慣病予防効果 2. ペコリーノチーズの摂取による腸内環境向上 3. 天然酵母のパン 「パーネ・カラザウ」肥満予防や血糖値上昇を抑える 4. カンノナウの赤ワインに含まれるポリフェノールで活性素除去 5. 豆類の積極的摂取によるイソフラボン増加、動脈硬化予防 とのことで、地域の食文化が大きな影響を及ぼしているようだ。

サルデーニャはその歴史的背景から、イタリア料理の他、アラブやアフリカ料理に影響を受けている。まず主役として、海産物の豊富さが挙げられる。ボッタルガ(からすみ)が特に有名で、ボラ以外にもタラやマグロ卵巣が使用される。

071110アサリのフレグラ

また、既出のパン「パーネ・カラザウ」の他、粒状のパスタ「フレグラ」、ニョッキに似た「マロレッドゥ」などがある。魚介と一緒にシンプルに煮込むのが一般的な調理法だ。

ワインの生産も盛んで、このカンノナウ種の他、モニカ・ディ・サルデーニャモスカート・ディ・サルデーニャ、ヴェルメンティーノ・ディ・サルデーニャが島全体をカバーするDOCだ。
その他に、ガッルーラ地方で醸造されているヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラは格上の呼称であるDOCG指定されている。

基本的には何百年も変わらない健康的な食生活を維持し、とれたての野菜や果物、自家製のチーズやオリーブオイルといったシンプルで美味しいテーブルを大切にしている。そこに1食1杯とも言われるワインの健康効果が加わり、元気な老後を過ごすための一助となっている。その結果、ここでは「定年退職」という概念が希薄で、90歳を超えても元気に働くご老人が多く活躍している。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

Twitter で