新潟県上越市の気候・風土
上越市は新潟県の南西部に位置し、新潟県では3番目に人口が多い。日本海に面し、夏には気温も30度前後まで上がることから、近隣の県より海水浴客が多く訪れる。一方、冬は降雪が多く、市内のほとんどは特別豪雪地帯に指定されている。ただし、内陸部や山間部に比べ、海沿いの地域は積雪が少ない。
明治時代、川上善兵衛が農民救済策として、この寒暖差と豪雪地帯という点を生かし、ワインに適したぶどうの栽培を始めた。彼は発酵温度の制御やワイン熟成庫の温度管理に雪を利用するため、蔵に「雪室」を併設した。まさに雪国の地の利を生かしたこの雪室は、現代のエコの潮流にも適合し、2005年より再び醸造に利用されている。
新潟県上越市のワインの特徴
上越市のワインは岩の原葡萄園のワインに代表される。岩の原葡萄園は、主力ワインとして通年販売される「深雪花」赤・白・ロゼ、および「岩の原ワイン 善」赤・白・ロゼを販売するほか、季節の限定商品や数量限定のワインも販売している。
中でも「岩の原ワイン 善」は、2015年春より販売が開始された新たなスタンダード・ラインアップとなるワイン。いずれのワインも川上善兵衛の開発したぶどうをメインに使用し、その個性を引き出す作り方をしている。
ちなみに赤ワインはマスカット・ベーリーAを主体とし、華やかで繊細な味わい。白ワインは甲州とデラウェアを使用し、上品ですっきりとした辛口ワイン。ロゼはマスカット・ベーリーAが主体の辛口ワインだ。
代表的な生産者
上越市にあるワイナリーは、岩の原葡萄園のみ。同ワイナリーでは日本最古のワイン蔵や雪室を所存し、いずれも見学が可能だ。
過去には「岩の原ワイン」という銘柄が主力商品であったが、近年のワインブームによるワイン愛好家のニーズに応えるため、2015年より川上善兵衛の開発したぶどうをクローズアップさせた商品構成を取っている。主力商品はいずれも1000円台から2000円台の価格・値段で販売されている。
エピソード
上越市のワイナリー、岩の原葡萄園の創始者である川上善兵衛は、およそ1万種の品種交雑の末、現代の日本ワインに欠かせない重要品種「マスカット・ベーリーA」をはじめ、22の優良な品種を作り出した。
また日本や新潟の風土に合った醸造方法に工夫を凝らし、日本ワイン産業のまさに礎を築いた重要人物だ。その功績から、「日本のワインぶどうの父」と呼ばれる。
新潟県上越市の代表的なワイン
・深雪花 赤・白・ロゼ/岩の原葡萄園
・岩の原ワイン 善 赤・白・ロゼ/岩の原葡萄園
・岩の原ワイン ヘリテイジ/岩の原葡萄園
・にごり造り 白・ロゼ/岩の原葡萄園