ムールヴェードル

ムールヴェードルとは――味の特徴、おすすめワイン、主な産地をチェック

   

ムールヴェードルの意味/品種

ムールヴェードル(Mourvèdre)とは、スペインのバレンシア州が原産とされる赤ワイン用ブドウ品種。深みのある色調と締まったタンニンが特徴的である。
世界のこの品種の85%がスペインで栽培されている。

バレンシア州のモルベドレ村周辺が原産地と推測される。この地域の15世紀の文献にこの品種のワインについて記述があり、18世紀まで高い評価を得ていたとされる。中世末期に当時カタルニアの統治下にあった南仏のラングドック・ルーションやプロヴァンスへと広がった。
フランスではムールヴェードル、オーストラリアとアメリカではマタロと呼ばれている。

OVA 2004 Mataro Shiraz Grenache

ムールヴェードルの特徴

土壌への適応力が強く、広い地域で栽培されている。暑く乾燥した土地で良く育ち、芽吹きが遅いうえ遅霜に強い晩熟タイプだが、栽培が困難で収穫量の低い品種に属する。温暖な気候を必要とするため地中海沿岸が適地である。

ムールヴェードルの味わい/香り

締まったタンニンをもち、香り・味わいとも組成のしっかりした濃厚なワインを生み出す貴重な品種である。完熟すると糖度が非常に高くなるため、発酵を経てアルコール度数は概して高めとなる。深みのある色合いを持ち、熟成にも向いており、ワインに骨組みを与える目的でよくブレンドに使用される。特に若いワインはタンニンが強いので他の品種とブレンドされることが多い。
この品種からは赤ワインだけでなくロゼワインやポートスタイルの酒精強化ワインが造られることもある

Les Jamelles Réserve Mourvèdre 2011. A fine fine wine.

ムールヴェードルの主な産地

現在スペインでは主に地中海沿岸のバレンシア、ムルシア、カタルーニャ州で栽培され、リオハやアラゴン州でも古い畑で一部栽培されている。世界的にカベルネ・ソーヴィニヨンなどの国際品種が土着品種にとって代わる傾向にあるが、この品種は依然として特にスペイン東部で広く栽培されている。
南仏プロヴァンス地方ではカシス、バンドール、コート・ド・プロヴァンスなどのブドウ畑が栽培適地としての歴史を持つ。バンドールではこの品種50%以上にグルナッシュやサンソーをブレンドした赤ワインが造られ、力強い味わいで熟成にも向いている。

OVA 2006 Mourvedre Shiraz Grenache

オーストラリアなどではグルナッシュ、シラーズとブレンドされ、各品種の頭文字を取ってGSMと称される。一方、長期熟成が可能であるため、この品種のみから作られた高級ワインも存在する。
アメリカではこの品種はヨーロッパのものほど強いタンニンはなく、カリフォルニア州やワシントン州で栽培されている。

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