ピノ・ノワール

ピノ・ノワールとは――味の特徴、おすすめワイン、主な産地をチェック

   

意味/品種

フランス東部のブルゴーニュ地方原産の赤ワイン用ブドウ品種。ブルゴーニュ北部コート・ドールではピノ・ノワール(Pinot Noir)の単一品種ワインが数多く造られている。そのうちコート・デュ・ニュイ地区ロマネ村のロマネ・コンティはこの種を原料とした世界最高品質のワインである。

その歴史は非常に古く厳密に遡ることは困難であるが、ヨーロッパブドウの原種から1-2世代変異をしたのみではないかとされている。小粒の果実がぎっしり付いた小さめの房がマツカサの形に似ていることから、松材を意味するピノ(松はフランス語でpin)の名が生まれたとされる。果実は腐りやすく、また果皮は薄く外的気候要因の影響を受けやすい。このために栽培が難しいぶどう品種となっている。

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特徴

やや冷涼な気候を好み高温多湿に弱く、土壌を選ぶ繊細な品種のため栽培が困難とされるが、僅かな気候の違いから微妙に味わいの違うワインが造られるため、栽培地区ごとに希少価値の高いワインが生み出される。

コート・デュ・ニュイの土壌はピノ・ノワールには最適な土壌とされており、またシャンパーニュ地方ではシャルドネ、ピノ・ムニエとともに使用が許された3品種のうちのひとつとして栽培されている。
遺伝子的に不安定で、突然変異種としてピノ・ブランピノ・グリやピノ・ムニエなどがあり、時には同じ樹に異なった色の果実がなるともいわれている。

また近年の遺伝子研究において、ブルゴーニュを超えるピノ・ノワール・ワインが現れないのは、土壌の特性に加えて品種自体の遺伝子が変異してきたためだと判明した。そこで最近では、各国で遺伝子の優れたピノ・ノワールを選りすぐって輸入し、栽培されるようになっている。

Wine and Glass

味わい/香り

カベルネ・ソーヴィニヨンとあらゆる部分において対照的な品種であり、比較的軽口である。

ブルゴーニュ地方ではタンクにそのままぶどうを入れていき、ぶどうの重さで果汁を絞り出す方法が採られている。取り出された果汁は再び上からタンクに戻され、発酵の度合いを見ながら少しずつ果実を潰してさらなる発酵を促していく。非常に手がかかるが、ピノ・ノワールの持ち味を最大限に引き出せる醸し方だ。

皮の色が薄いため、ワインの色はルビーレッドと言われるように薄めだが、豊かで力強く厚みのある果実味が長く続く。タンニンは控えめで柔らかいが確かな味がある。優雅な芳香と優しくシルキーで溶けるような舌触りは洗練された気品を醸し出す。若いうちはサクランボやイチゴ、ラズベリーのような赤い果実のフレッシュな芳香から、熟成にしたがってスパイシーな森の下草やなめし革といった複雑な香りになる。

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主な産地

フランスではピノ・ノワール、イタリアではピノ・ネロ、ドイツではシュペートブルグンダー、オーストリアではブラウアーブルグンダーと呼ばれる。栽培が難しいながらも世界中の比較的寒冷な地域で栽培が試みられており、日本でも栽培されている。

フランスのその他の地方では、アルザスで唯一作られている赤ワイン用品種としても知られる。ブルゴーニュのものに比べると、色が明るく、フレッシュで軽い香味のワインになる。南仏の、ヴァン・ド・ペイと呼ばれる地酒にあたるワインにもピノ・ノワールが見られるようになってきている。

Marcassin pinot

ピノ・ノワールを使ったおすすめワイン

ブルゴーニュ地方には実に多くのピノ・ノワールを使った赤ワインがつくられており、テロワールの個性を繊細に表現することから、味わいも品性も価格も千差万別である。

その中から、1万円以下で楽しめる人気のワインを何本かピックアップしてみた。
その深遠な魅力の虜となったワインファンも数知れず。高貴なピノ・ノワールの世界を垣間見てほしい。

・オート・コート・ド・ニュイ/ルイ・マックス
各地区の良いところを最大限に引き出すワインづくりで定評のあるルイ・マックスがつくり上げるシルキーなピノ・ノワール。

・ジュヴレ・シャンベルタン/ラ・ジブリオット
トップ生産者として名高いクロード・デュガが持つネゴシアン。最高の品質を手ごろな値段で提供しており、世界中にファンが多い。

ヴォーヌ・ロマネ/クリストフ・シュヴォー
ロマネ・コンティの伝説の醸造家とも言われる父を持ち、同じく自身もDRCでテクニックを習得した醸造家が手掛ける。同社が持つ世界最高の技術とエッセンスを詰め込んでつくられたヴォーヌ・ロマネ。

・ピノ・ノワール/ラ・クレマ
ソノマ・コーストは「カリフォルニアのヴォーヌ・ロマネ」と呼ばれるほどの銘醸地。繊細な気候を生かした優しくエレガントなピノ・ノワール。

・ピノ・ノワール・レゼルヴァ/ファレルニア
チリのエルキ・ヴァレーでつくられるこのピノ・ノワールは繊細で膨らみのある香りと複雑な味わいが特徴。ワインコンクールでの入賞歴多数。

・ピノ・ネロ/ペッケニーノ
イタリア・ピエモンテ州ランゲ地域でつくられるこのワインは、従来のイタリア産ピノ・ネロのイメージを覆す上質かつリーズナブルな1本だ。

・ピノ・ノワール/マーティンボロー・ヴィンヤード
ニュージーランドのピノ・ノワールの素晴らしさを世界に知らしめたワイナリー。骨格がしっかりしており、複雑味のある味わい。

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