なだらかな丘にブドウ樹の列が広がるヴェルズネのヴーヴ・クリコ所有畑
ワイナリー

ヴーヴ・クリコ

ヴーヴ・クリコ(Veuve Clicquot)は、フランス・シャンパーニュ地方ランスを代表する造り手のひとつです。名前は聞いたことがあっても、どんな土地で、どのような考え方のもとにワインを造っているのかまでは意外と整理しにくいものです。

この記事では、ヴーヴ・クリコの特徴、ワインづくり、代表的なワイン、歴史を分かりやすく紹介します。造り手の背景を知っておくと、ラベルだけでは見えにくい味わいの方向性や価格の理由も理解しやすくなります。

なだらかな丘にブドウ樹の列が広がるヴェルズネのヴーヴ・クリコ所有畑
グラン・クリュの村ヴェルズネに広がるヴーヴ・クリコのブドウ畑。ピノ・ノワールがメゾンの力強い骨格を支えます(画像: Mustang Joe / CC0) Wikimedia Commons / CC0

ヴーヴ・クリコとは

産地とスタイル

ヴーヴ・クリコは、フランス・シャンパーニュ地方ランスの風土と深く結びついたワイナリーです。産地の気候、土壌、品種の個性を生かしながら、その地域らしさが伝わるワインを生み出しています。

ヴーヴ・クリコの黄色い看板が掲げられたランスの建物外観
ランスにあるヴーヴ・クリコの施設。メゾンの鮮やかな黄色が街並みの中でも存在感を放ちます(画像: Ra Boe / CC BY-SA 3.0) Wikimedia Commons / CC BY-SA 3.0

評価される理由

ヴーヴ・クリコは、1772年にランスで始まったシャンパーニュ・メゾンです。メゾンを象徴するイエローラベルはピノ・ノワールを骨格に、ムニエの丸みとシャルドネの繊細さを重ねるスタイル。公式仕様ではピノ・ノワール50%、シャルドネ30%、ムニエ20%を目安に50〜60のクリュを組み合わせ、最大45%のリザーヴワインを用います。黄金色、きめ細かな泡、洋梨やリンゴ、桃、柑橘、ブリオッシュ、ドライフルーツのニュアンスを、力強さとフレッシュさ、豊かな香り、シルキーな口当たりのバランスへまとめるのが特徴です。ランスの地下には、かつて白亜石を切り出したクレイエールが広がり、現在も熟成庫とビジターセンターとしてメゾンの歴史とワインづくりを伝えています。

ワインづくりのこだわり

収穫した房は圧搾拠点で丸ごと搾り、品種、圧搾区分、クリュごとに分けて醸造します。メゾンは品質を重視して主に最初の搾汁であるキュヴェを用い、果実の鮮度と土地の性格を保つためステンレスタンクを中心に発酵。一部は大樽で発酵・熟成し、ヴィンテージやカーヴ・プリヴェの骨格に生かします。イエローラベルでは約50のクリュと長期保管したリザーヴワインから毎年のスタイルを組み立て、瓶内二次発酵後は光や振動を避けた10〜12度のクレイエールで、ノンヴィンテージでも最低30か月熟成します。澱を瓶口へ集めるルミュアージュ、デゴルジュマン、ドザージュを経て、イエローラベルは9g/Lのブリュットに仕上げます。

村名や畑名が白字で記されたヴーヴ・クリコの伝統的な木樽
村名や畑名が記されたセラーの大樽。一部のワインに木樽を用い、ブレンドへ骨格と複雑さを加えます(画像: Tomas er / CC BY-SA 4.0) Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0

代表的なワイン

Veuve Clicquot Yellow Label Brut

メゾンの基準となるノンヴィンテージ・ブリュット。ピノ・ノワールを中心に三品種と最大45%のリザーヴワインを組み合わせ、力強い骨格、白・黄系果実の香り、柑橘の鮮度、ブリオッシュやドライフルーツの奥行きを整えます。8〜10度で、魚介の前菜から鶏肉、熟成チーズまで幅広く合わせやすい一本です。今回Amazonで在庫ありと確認した商品は750mlボトルです。

La Grande Dame 2018

マダム・クリコの先見性に敬意を表すプレステージ・キュヴェ。2018年はピノ・ノワール90%、シャルドネ10%、ドザージュ6g/Lで、柑橘や白い果実、花の香り、塩味を思わせる張りを備えます。ピノ・ノワールを軸に、力強さだけでなく精緻さと長い熟成力を表現する、メゾンのもう一つの顔です。

Veuve Clicquot Rosé

1818年にマダム・クリコが切り開いた、白いベースワインへ赤ワインを加えるロゼ・ダッサンブラージュの発想を受け継ぐキュヴェです。イエローラベルの骨格と果実の明るさに赤系果実の表情を重ね、食卓でシャンパーニュの組み合わせを広げます。

鮮やかな黄色いラベルを持つヴーヴ・クリコ イエローラベルのボトル
黄色いラベルとオレンジ色の帯をまとったヴーヴ・クリコのボトル。1877年から続く視覚的なシンボルです(画像: Renzo Grosso / CC BY-SA 3.0) Wikimedia Commons / CC BY-SA 3.0

ワイナリーの歴史

フィリップ・クリコが1772年にワイン事業を始め、1805年に夫を亡くした27歳のバルブ=ニコル・クリコ・ポンサルダンが経営を引き継ぎました。マダム・クリコは1810年に記録に残る初のヴィンテージ・シャンパーニュを手がけ、1814年にはロシアへの出荷で市場を切り開きます。1816年には澱を瓶口へ集めて澄んだワインを得るルミュアージュ台を考案し、1818年にはブージーの赤ワインを加えるブレンド法によるロゼを生み出しました。1877年には黄色いラベルの商標を登録。1909年にランス郊外のクレイエールを取得し、その地下施設を含むサン・ニケーズの丘は2015年にユネスコ世界遺産の構成資産となりました。1972年には創業200周年を記念して、彼女に敬意を表すプレステージ・キュヴェ、ラ・グランダムが誕生しています。

ヴーヴ・クリコを写真で見る

地下セラーで多数のシャンパーニュボトルを斜めに差した木製ルミュアージュ台
クレイエールに並ぶルミュアージュ台。澱を瓶口へ集め、透明なシャンパーニュへ導く工程を伝えます(画像: Cynwolfe / CC BY-SA 4.0) Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0
ヴーヴ・クリコの地下セラーで壁のように積み上げられた熟成中のボトル
ランスの地下で横向きに重なる熟成中のボトル。光と振動を避け、澱とともにゆっくり時間を重ねます(画像: Tomas er / CC BY-SA 4.0) Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0
ヴーヴ・クリコのボトルとシャンパーニュグラス、チーズを並べたテーブル
イエローラベルをグラスとチーズで楽しむ食卓。力強さとフレッシュさが料理の幅を広げます(画像: Renzo Grosso / CC BY-SA 3.0) Wikimedia Commons / CC BY-SA 3.0
はしごと床に小瓶から大型瓶まで大きさ順に並べたヴーヴ・クリコのボトル展示
ピッコロからバルタザールまで、セラーに展示された多彩なボトルサイズ。祝宴と熟成の文化を映します(画像: Walter Nissen / Public domain) Wikimedia Commons / Public domain
黒いドレス姿で椅子に座る晩年のマダム・クリコの肖像画
レオン・コニエが描いたマダム・クリコ。経営と醸造の革新でシャンパーニュの歴史を動かしました(画像: Léon Cogniet / Public domain) Wikimedia Commons / Public domain
ヴーヴ・クリコのボトル二本とグラス二脚を描いた20世紀初頭の広告ポスター
1900〜1913年ごろのヴーヴ・クリコを描いたリトグラフ。ボトルとグラスに国際的なメゾンの歩みが表れます(画像: Arnold van Roessel / Rijksmuseum / CC0) Wikimedia Commons / CC0
ヴーヴ・クリコの白亜質地下セラーの壁に残る大きな赤十字の印
第一次世界大戦中に避難場所や臨時病院として使われた地下空間に残る赤十字。クレイエールの別の歴史を伝えます(画像: Nan Palmero / CC BY 2.0) Wikimedia Commons / CC BY 2.0
ヴーヴ・クリコの優良ヴィンテージ年が一段ずつ刻まれた地下セラーの石段
優れたヴィンテージの年を刻んだ地下セラーの石段。長い熟成とメゾンの記憶を視覚化しています(画像: Cynwolfe / CC BY-SA 4.0) Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0

ヴーヴ・クリコのおすすめワイン

この記事にはAmazonアソシエイトリンクが含まれます。

ヴーヴ・クリコの味わいを知るなら、まずは代表的な銘柄から選ぶのがおすすめです。

ヴーヴ・クリコ イエローラベル ブリュット 750ml

ヴーヴ・クリコらしさを感じやすい1本として、ヴィンテージや販売者、配送条件を確認しながら選びたい候補です。

ヴーヴ・クリコ イエローラベル ブリュット 750mlをAmazonで見る

まとめ

ヴーヴ・クリコは、フランスのワインを知るうえで押さえておきたい造り手です。産地の個性、歴史、代表的なワインを知っておくと、ボトルを選ぶときの判断材料が増えます。まずは代表的なキュヴェのスタイルを確認し、料理や熟成感の好みに合わせて選ぶとよいでしょう。

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編集情報

この記事はWine Bazaar編集部が、公開情報・取材情報・商品情報を確認し、読者がワインを選びやすくなることを目的に作成しています。内容は必要に応じて更新します。

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