芝生と砂利道の先に立つシャトー・ジスクールの館
ワイナリー

シャトー・ジスクール

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シャトー・ジスクール(Château Giscours)は、フランス・ボルドー地方マルゴー、ラバルドを代表する造り手のひとつです。名前は聞いたことがあっても、どんな土地で、どのような考え方のもとにワインを造っているのかまでは意外と整理しにくいものです。

この記事では、シャトー・ジスクールの特徴、ワインづくり、代表的なワイン、歴史を分かりやすく紹介します。造り手の背景を知っておくと、ラベルだけでは見えにくい味わいの方向性や価格の理由も理解しやすくなります。

芝生と砂利道の先に立つシャトー・ジスクールの館
マルゴーのラバルドにあるシャトー・ジスクール。館の両側に農業や醸造のための建物が並びます(画像: David Perez (DPC) / CC BY 3.0) Wikimedia Commons / CC BY 3.0

シャトー・ジスクールとは

産地とスタイル

シャトー・ジスクールは、フランス・ボルドー地方マルゴー、ラバルドの風土と深く結びついたワイナリーです。産地の気候、土壌、品種の個性を生かしながら、その地域らしさが伝わるワインを生み出しています。

砂礫の畝間と色づいたブドウの房を描いた編集部イメージ
ジスクールの公式の畑写真を参考に、砂礫の土とブドウ列を構図を変えて再構成したWine Bazaar編集部イメージ(画像: Wine Bazaar編集部)

評価される理由

ジスクールを知るなら、まず三つの砂礫丘に目を向けたいところです。西側のグラン・プジョーとプティ・プジョーには大粒の礫が多く、温まりやすい土でカベルネ・ソーヴィニヨンがよく熟します。一方、ベル・エールは砂を含む比較的涼しい土壌で、暑く乾いた年に持ち味を発揮します。カントロードと呼ばれる台地は、その中間の性質を備えた場所。こうした畑を組み合わせることで、果実の厚みと鮮度を整えています。栽培するのはカベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、カベルネ・フラン、プティ・ヴェルド。公式がグラン・ヴァンで重視するのは、香りの鮮やかさと、きめの細かなタンニンです。メルローの丸みにカベルネの骨格を重ねる造りで、若いうちの果実味だけでなく、瓶熟成による変化も楽しめます。また、畝間の草生や土壌管理を見直し、古木から優れた株を選んで増やす取り組みも続けています。館や畑だけでなく、森、公園、農業施設を含めて地所を守る姿勢もジスクールの特徴です。

ワインづくりのこだわり

同じ区画でも、若い樹と古い樹のブドウを一度に摘み切らない。これがジスクールの収穫を理解する手がかりです。公式によると、若い樹を先に収穫して鮮やかな果実の香りを生かし、古い樹は熟度を待って何度かに分けて摘みます。1923年に植えられた区画も残り、古木の間に若木を補植して畑を維持しています。収穫した房を選別し、やさしく除梗した後、光学式の選果でもう一度粒を選びます。発酵前の低温浸漬を経て、果実の鮮度を守りながら発酵へ。強く抽出することよりも、試飲で状態を確かめ、時間をかけて穏やかに成分を引き出すことを重視しています。マロラクティック発酵はタンク内で行い、その後にフランス産オーク樽で熟成させます。歴史ある醸造棟にはマルゴー用とオー・メドック用の醸造区画があり、広い熟成庫には1,500樽以上を収容。約10の樽メーカーから調達した樽を使っています。紹介する2021年の技術資料では、コンクリート槽とステンレス槽、28℃で35日間のマセラシオン、新樽比率50%、17か月の樽熟成を確認できます。これは2021年の仕様で、他の銘柄やヴィンテージに一律に当てはめる数字ではありません。

石壁の熟成庫でオーク樽が並ぶ様子を描いた編集部イメージ
ジスクールの樽熟成庫の公式写真を参考に、オーク樽と通路を別の構図で再構成したWine Bazaar編集部イメージ(画像: Wine Bazaar編集部)

代表的なワイン

Château Giscours 2021(シャトー・ジスクール)

マルゴーの1855年格付け第3級に当たるグラン・ヴァンです。2021年の公式技術資料では、カベルネ・ソーヴィニヨン65%、メルロー32%、プティ・ヴェルド3%のブレンド。収穫日は9月27日から10月13日と記されています。公式の味わいの説明は、香りの鮮明さ、細かなタンニン、鮮度と骨格の釣り合いを中心にしています。カベルネを軸にした端正なマルゴーを知りたいときの候補です。Amazon.co.jpで確認した商品は、この2021年の750mlボトル。購入時には販売者、保管や配送の条件も確認してください。

La Sirène de Giscours(ラ・シレーヌ・ド・ジスクール)

マルゴーの自社畑から造るセカンドワインです。春の畑仕事の段階から方向性を考え、グラン・ヴァンと同じ考え方で栽培と醸造を進めます。公式は果実の香り、みずみずしい口当たり、なめらかに溶け込むタンニンを特徴として挙げています。若いうちから親しみやすく、熟成させる楽しみもある銘柄。ジスクールの果実味と柔らかな質感に触れてみたいときは、このラベルから選ぶ方法もあります。人魚を意味するシレーヌの名は、シャトーの紋章に由来します。

Haut-Médoc Giscours(オー・メドック・ジスクール)

1992年から同じチームが手掛けるサードワインで、原料はオー・メドックの畑で育てています。マルゴーのセカンドワイン、ラ・シレーヌとは産地も銘柄も異なります。公式が説明する畑の土は細かな砂礫と砂が中心。果実の香り、穏やかなタンニン、爽やかな余韻を備え、食卓で気軽に楽しむワインとして案内されています。ラベルに書かれたアペラシオンを見比べると、同じ造り手が土地によってどのようにワインを分けているか分かります。

Le Rosé x Giscours(ル・ロゼ・ド・ジスクール)

2019年に始まった淡い色合いのロゼです。ロゼ用に選んだカベルネ・ソーヴィニヨンの区画を通年で管理し、鮮度と果実の香りを残すために早めに収穫します。使うのは最初の圧搾で得られる果汁で、温度を管理しながら発酵させます。公式は白い花を思わせる繊細な香りと、軽やかな果実味を紹介しています。赤ワインの印象が強いジスクールですが、同じ品種から造るロゼにも目を向けると、収穫時期や醸造方法による違いを楽しめます。

木箱に収められたシャトー・ジスクール2016年のボトルとラベル
シャトー・ジスクール2016年のボトル。人魚の紋章とマルゴーの表記を確認できます。紹介するAmazon商品は2021年です(画像: Thomon / CC BY-SA 4.0) Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0

ワイナリーの歴史

公式の年表は、1552年に織物商ピエール・ド・ロムがブドウ畑を広げた時代から始まります。1847年に所有者となったジャン=ピエール・ペスカトールは、畑や醸造設備への投資を進めました。1855年にはメドック格付けの第3級に選ばれています。続くエドゥアール・クリューズの時代には、館の周囲の公園や模範農場のフェルム・シュザンヌが整備されました。ラベルでおなじみの人魚が初めて登場したのは1900年。この意匠は、後にセカンドワインのラ・シレーヌという名前にもつながります。1995年からはエリック・アルバダ・イェルヘスマが畑と建物の改修を進め、2018年には子どもたちが事業を引き継ぎました。ワインを造る場所として歩みを重ねながら、現在は見学や試飲の場も設けています。公式の見学案内には通常のツアーのほか、複数年を比較する試飲や地所を巡るプライベートツアーもあります。訪問する際は、希望する体験、対応言語、空き日程を公式ページで確認して予約するとよいでしょう。

シャトー・ジスクールを写真で見る

シャトー・ジスクールの敷地にある赤い扉と窓枠の醸造棟
赤い建具が印象的なジスクールの醸造棟。歴史ある地所の中で栽培と醸造を続けています(画像: David Perez (DPC) / CC BY 3.0) Wikimedia Commons / CC BY 3.0
木箱に横たえたラ・シレーヌ・ド・ジスクール2015年のボトル
マルゴーのセカンドワイン、ラ・シレーヌ・ド・ジスクール。写真は2015年のボトルです(画像: Thomon / CC BY-SA 4.0) Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0
1898年の書籍に描かれたシャトー・ジスクールの館と前庭
1898年刊行の『Bordeaux et ses vins』に掲載されたジスクール。館と周囲の建物が描かれています(画像: Eugène Vergez / Public domain) Wikimedia Commons / Public domain
シャトー・ジスクールの中庭と建物が写る古い絵はがき
かつてのジスクールの館と農業施設を伝える絵はがき。現在の中庭の写真と見比べられます(画像: Henry Guillier / Public domain) Wikimedia Commons / Public domain
シャトー・ジスクールの入口の門と石柱
ジスクールの入口。公式サイトでは見学やテイスティングの内容を案内しています(画像: Renhour48 / CC0) Wikimedia Commons / CC0
ボルドーのムーリで緑から濃紺へ色づく途中のカベルネ・ソーヴィニヨンの房
ムーリ・アン・メドックで色づき始めたカベルネ・ソーヴィニヨンの資料写真。品種の説明用で、ジスクールの畑を写したものではありません(画像: Dominique Hessel / CC BY 3.0) Wikimedia Commons / CC BY 3.0

シャトー・ジスクールのおすすめワイン

この記事にはAmazonアソシエイトリンクが含まれます。

シャトー・ジスクールの味わいを知るなら、まずは代表的な銘柄から選ぶのがおすすめです。

シャトー・ジスクール 2021 赤 750ml

シャトー・ジスクールらしさを感じやすい1本として、ヴィンテージや販売者、配送条件を確認しながら選びたい候補です。

シャトー・ジスクール 2021 赤 750mlをAmazonで見る

まとめ

シャトー・ジスクールは、フランスのワインを知るうえで押さえておきたい造り手です。産地の個性、歴史、代表的なワインを知っておくと、ボトルを選ぶときの判断材料が増えます。まずは代表的なキュヴェのスタイルを確認し、料理や熟成感の好みに合わせて選ぶとよいでしょう。

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この記事はWine Bazaar編集部が、公開情報・取材情報・商品情報を確認し、読者がワインを選びやすくなることを目的に作成しています。内容は必要に応じて更新します。

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