黄土色の壁に青い鎧戸が二つ並び、中央に鉢植えが置かれたキルヴァンの付属棟
ワイナリー

シャトー・キルヴァン

シャトー・キルヴァン(Château Kirwan)は、フランス・ボルドー地方マルゴー、カントナックを代表する造り手のひとつです。名前は聞いたことがあっても、どんな土地で、どのような考え方のもとにワインを造っているのかまでは意外と整理しにくいものです。

この記事では、シャトー・キルヴァンの特徴、ワインづくり、代表的なワイン、歴史を分かりやすく紹介します。造り手の背景を知っておくと、ラベルだけでは見えにくい味わいの方向性や価格の理由も理解しやすくなります。

黄土色の壁に青い鎧戸が二つ並び、中央に鉢植えが置かれたキルヴァンの付属棟
キルヴァンの敷地内にある付属棟。黄土色の壁と青い鎧戸が印象的な2009年の写真(画像: xlibber / CC BY 2.0) Wikimedia Commons / CC BY 2.0

シャトー・キルヴァンとは

産地とスタイル

シャトー・キルヴァンは、フランス・ボルドー地方マルゴー、カントナックの風土と深く結びついたワイナリーです。産地の気候、土壌、品種の個性を生かしながら、その地域らしさが伝わるワインを生み出しています。

選果台に広がった黒いメルローの粒と、実をすくう手袋をした手
2010年のキルヴァンで撮影されたメルローの選果。ブドウを一粒ずつ確かめる作業の資料写真です(画像: Ryan O’Connell / CC BY-SA 2.0) Wikimedia Commons / CC BY-SA 2.0

評価される理由

シャトー・キルヴァンを知るなら、まずマルゴーの畑の違いに目を向けたいところです。拠点はカントナックの台地。37haの畑には砂利、粘土、砂が入り交じり、公式の土壌調査では29種類の土壌を確認したといいます。砂利は雨水を逃がしやすく、粘土は乾燥した時期にも水分を保ちやすい。造り手は区画の性質に合わせて植え付けから収穫までを調整し、果実の鮮やかさと酸味を残すことを大切にしています。キルヴァンは1855年のメドック格付けで第3級に選ばれたシャトーです。ただ、同じ名前の赤でも収穫年によってブレンドは変わります。今回紹介する2021年はカベルネ・ソーヴィニヨンが73%を占める年。畑全体の品種構成と、瓶の中のブレンドを分けて見ると、年ごとの造り手の判断が分かります。

ワインづくりのこだわり

収穫したブドウは小さな箱で運び、醸造所で二段階の選果を行います。2015年には発酵室とセラーを改修し、重力を使ってブドウやワインを移す設備を整えました。区画ごとに仕込むための容器は、容量の小さなコンクリート槽が37基。チューリップ形の槽の壁に温度管理の仕組みを組み込んでいます。熟成にはフレンチオーク樽を使いますが、期間や新樽の割合は収穫年の資料で確認したい項目です。2021年の公式資料に記載された条件は16か月、新樽45%。一般的な紹介文の熟成期間を、そのまま2021年に当てはめることはできません。本文に掲載した選果と樽庫の実写は2009〜2010年のもので、改修前の仕事場を伝える資料です。現在のコンクリート槽とは撮影時期が異なります。

二つの選果台の間を流れる黒いブドウの粒
選果台の間を移動するメルロー。2010年の撮影で、2015年の醸造施設改修前の設備です(画像: Ryan O’Connell / CC BY-SA 2.0) Wikimedia Commons / CC BY-SA 2.0

代表的なワイン

Château Kirwan 2021(シャトー・キルヴァン/今回のAmazon掲載商品)

今回確認した商品は、2021年の赤ワイン、750mlの単品です。公式のブレンドはカベルネ・ソーヴィニヨン73%、メルロー13%、カベルネ・フラン8%、プティ・ヴェルド6%。収穫は9月23日から10月8日までで、瓶詰めは2023年5月3日でした。同年11月の生産者の試飲記録では、サクランボやイチゴ、ラズベリーを思わせる果実香、控えめなスパイス、なめらかなタンニンが紹介されています。これは編集部の実飲評価ではなく、生産者による説明です。購入時は収穫年と容量、販売者の配送条件を確認してください。

Charmes de Kirwan(シャルム・ド・キルヴァン)

砂利と砂の多い区画から造るセカンドワインです。公式紹介では若いうちから楽しめる丸みとなめらかさを特徴に挙げています。手摘みと二段階の選果を経て、小型のコンクリート槽で仕込み、樽とコンクリート槽で18か月熟成。キルヴァンの別の表情を知りたいときに比べたい銘柄です。ラベルのCharmes de Kirwanを目印に選んでください。

Blanc de Kirwan 2023(ブラン・ド・キルヴァン)

シャルドネ100%で造る白もあります。2021年に粘土質の1haの区画へ植樹し、初収穫は2023年。公式資料の表示はヴァン・ド・フランスで、赤のAOCマルゴーとは異なります。2023年は樽で発酵させ、澱をかき混ぜながら12か月熟成した後、アンフォラで仕上げています。生産者は白い花、洋梨、柑橘の香りと、ふくらみを支える酸味を紹介しています。今回のAmazonリンクはこの白ではなく、シャトー・キルヴァン2021の赤です。

赤いキャップシールと白いラベルを付けたシャトー・キルヴァン2000のボトル
シャトー・キルヴァン2000のボトル資料。今回のAmazon掲載商品は2021年の750mlで、写真とは収穫年が異なります(画像: Geographer / CC BY-SA 3.0) Wikimedia Commons / CC BY-SA 3.0

ワイナリーの歴史

名前の由来は、18世紀にボルドーへ渡ったアイルランド出身の商人マーク・キルヴァンです。ラサールと呼ばれていた土地に自分の名を付け、ワインの評価を広めました。その後、庭園や建物の整備に力を注いだのがカミーユ・ゴダール。1898年の挿絵にも、木々に囲まれた館の姿が残っています。公式サイトでは、1926年にシーラー家がシャトーを引き継いだと紹介されています。同家が営むワイン商シュレーダー・エ・シーラーと、畑を持ちワインを造るキルヴァンは深く結び付いていますが、この記事ではシャトーの畑と銘柄を取り上げています。1960年代にはジャン・アンリ・シーラーが植え替えを進め、その後も区画の見直しや醸造施設の更新を重ねてきました。現地では見学と試飲に加えて、食事や香りを扱う体験も案内しています。希望する内容と予約条件を公式サイトで確かめてから訪れるとよいでしょう。

シャトー・キルヴァンを写真で見る

石の壁と木の梁のある室内に何列もの熟成樽が並ぶキルヴァンの樽庫
2009年のキルヴァンの樽庫。現在の設備とは異なる、2015年の改修前の姿を伝えます(画像: Jon / CC BY 2.0) Wikimedia Commons / CC BY 2.0
キルヴァンのボトルからグラスに赤ワインを注ぐ試飲の様子
2010年に撮影されたキルヴァンの試飲風景。現在の見学内容や提供銘柄は公式案内で確認できます(画像: Ryan O’Connell / CC BY-SA 2.0) Wikimedia Commons / CC BY-SA 2.0
木々と庭園に囲まれたシャトー・キルヴァンを描いた1898年の挿絵
1898年刊『Bordeaux et ses vins』に掲載されたキルヴァンの挿絵。現在の外観写真ではありません(画像: Eugène Vergez / Public domain) Wikimedia Commons / Public domain
人物の肖像と館の図柄、1998の収穫年を記したキルヴァンのラベル
1998年のキルヴァンのラベル。建物の図柄とSchröder & Schÿlerの名前が見えます。Amazon掲載の2021年とは別のラベル資料です(画像: Gilbert LE MOIGNE / CC BY-SA 3.0) Wikimedia Commons / CC BY-SA 3.0

シャトー・キルヴァンのおすすめワイン

この記事にはAmazonアソシエイトリンクが含まれます。

シャトー・キルヴァンの味わいを知るなら、まずは代表的な銘柄から選ぶのがおすすめです。

シャトー・キルヴァン 2021 赤 750ml

シャトー・キルヴァンらしさを感じやすい1本として、ヴィンテージや販売者、配送条件を確認しながら選びたい候補です。

シャトー・キルヴァン 2021 赤 750mlをAmazonで見る

まとめ

シャトー・キルヴァンは、フランスのワインを知るうえで押さえておきたい造り手です。産地の個性、歴史、代表的なワインを知っておくと、ボトルを選ぶときの判断材料が増えます。まずは代表的なキュヴェのスタイルを確認し、料理や熟成感の好みに合わせて選ぶとよいでしょう。

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編集情報

この記事はWine Bazaar編集部が、公開情報・取材情報・商品情報を確認し、読者がワインを選びやすくなることを目的に作成しています。内容は必要に応じて更新します。

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