砂利の小道とブドウ畑の向こうに石造りの館を描いた編集部イメージ
ワイナリー

シャトー・グラン・ピュイ・ラコスト

シャトー・グラン・ピュイ・ラコスト(Château Grand-Puy-Lacoste)は、フランス・ボルドー地方ポイヤックを代表する造り手のひとつです。名前は聞いたことがあっても、どんな土地で、どのような考え方のもとにワインを造っているのかまでは意外と整理しにくいものです。

この記事では、シャトー・グラン・ピュイ・ラコストの特徴、ワインづくり、代表的なワイン、歴史を分かりやすく紹介します。造り手の背景を知っておくと、ラベルだけでは見えにくい味わいの方向性や価格の理由も理解しやすくなります。

砂利の小道とブドウ畑の向こうに石造りの館を描いた編集部イメージ
公式の地所写真を参考に、畑の小道から館を望む別の構図で描いたWine Bazaar編集部イメージ。現地で撮影した写真ではありません(画像: Wine Bazaar編集部)

シャトー・グラン・ピュイ・ラコストとは

産地とスタイル

シャトー・グラン・ピュイ・ラコストは、フランス・ボルドー地方ポイヤックの風土と深く結びついたワイナリーです。産地の気候、土壌、品種の個性を生かしながら、その地域らしさが伝わるワインを生み出しています。

砂利の多い畝と低いブドウの列を描いた編集部イメージ
公式の畑の写真を参考に、砂利の畝とブドウの房を別の構図で描いたWine Bazaar編集部イメージ。特定の区画を記録した写真ではありません(画像: Wine Bazaar編集部)

評価される理由

グラン・ピュイ・ラコストは、1855年のメドック格付けで第5級に選ばれたポイヤックのシャトーです。名前のピュイは小さな丘を意味し、畑はジロンド河口の左岸、ポイヤックの町の西側に広がります。深い砂利層が水を逃がし、日中の熱を蓄える土地で、カベルネ・ソーヴィニヨンを中心に育てています。公式の地所紹介では敷地は90ヘクタール、ブドウの植栽面積は64ヘクタール。一方、2023年の技術資料にある生産中の畑は60ヘクタールです。植栽の構成はカベルネ・ソーヴィニヨン75%、メルロー20%、カベルネ・フラン5%。ボトルに入るワインの比率は年ごとの選抜で変わります。味わいを知る手掛かりは、しっかりしたタンニンと口当たりのなめらかさがどう重なるか。公式はカシスをはじめとする果実、スパイス、樽に由来する香りを挙げ、熟成による変化も魅力としています。若い年と年月を経た年を比べるときも、収穫年と保管状態を確かめながら選びたい赤です。

ワインづくりのこだわり

収穫は手作業で行い、除梗の前後で二度選果します。2023年の公式資料では、果皮などを果汁に浸すマセラシオンの期間は約3週間。区画ごとのブドウを見極め、試飲を重ねてブレンドを決めます。醸造設備への投資もボリー家の仕事の一つです。1981年に新しい発酵施設、2003年には樽熟成庫を整備し、その後も区画を細かく扱うために設備を増やしてきました。熟成にはフレンチオーク樽を使います。2006年の技術資料には新樽75%、熟成期間16〜18か月とあり、2023年のグラン・ヴァンも新樽比率は75%です。同じ2023年でもラコスト・ボリーは40%。年と銘柄をそろえて資料を読むと、どの樽をどれほど使うかという違いまで見えてきます。

赤い壁の熟成庫にオーク樽が並ぶ様子を描いた編集部イメージ
公式の熟成庫写真を参考に、赤い壁とオーク樽を別の構図で描いたWine Bazaar編集部イメージ。現在の施設や樽の配置を記録した写真ではありません(画像: Wine Bazaar編集部)

代表的なワイン

Château Grand-Puy-Lacoste(シャトー・グラン・ピュイ・ラコスト)

シャトーを代表するグラン・ヴァンです。カベルネ・ソーヴィニヨンの骨格を軸に、熟成を見据えて造る赤。2023年の公式ブレンドはカベルネ・ソーヴィニヨン77%、メルロー23%で、カシスや黒い果実、胡椒、黒鉛を思わせる香りが紹介されています。ラベルでは生産者名、PAUILLAC、収穫年を確認しましょう。

Château Grand-Puy-Lacoste 2006(今回のAmazon掲載商品)

今回確認したAmazon商品は、2006年のグラン・ヴァン、750mlです。公式資料によると、収穫は9月21日から10月4日、ブレンドはカベルネ・ソーヴィニヨン78%とメルロー22%。カシスリキュールを思わせる香り、丸みのあるタンニン、長い余韻が当時の紹介に記されています。年月を経たボトルを選ぶ際には、販売者の保管・配送条件や液面の状態も確認したいところです。

Lacoste-Borie(ラコスト・ボリー)

若いうちから楽しみやすい方向にまとめるセカンドワインです。2023年はカベルネ・ソーヴィニヨン56%、メルロー33%、カベルネ・フラン11%。同年のグラン・ヴァンと比べてメルローが多く、カベルネ・フランも入ります。フレンチオークで熟成し、新樽比率は40%です。同じ年の2本を並べるなら、果実の印象やタンニン、樽の香りの出方に注目すると違いを捉えやすくなります。

Wooden Case Variation 2020(容量違いの木箱セット)

2020年の同じワインを異なる容量で詰め、熟成の進み方を比べるために公式が案内した木箱セットです。グラン・ピュイ・ラコストとラコスト・ボリーのそれぞれに用意され、1箱にダブルマグナム3Lを1本、マグナム1.5Lを2本、750mlを4本、合計9Lが入ります。長く寝かせながら同じワインを異なる容量で比べたい人には、こうした楽しみ方もあります。今回のAmazonリンクは2006年・750mlの単品で、このセットへのリンクではありません。

館の図案とPAUILLAC、2013の文字が見える375mlボトル
グラン・ピュイ・ラコスト2013年のハーフボトル(375ml)。紹介するAmazon商品は2006年・750mlです(画像: Geographer / CC BY-SA 4.0) Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0

ワイナリーの歴史

地所の歴史は16世紀までさかのぼります。婚姻と相続を通じて所有者の名が変わり、19世紀にマリー=ジャンヌ・ド・サン=ギロンがフランソワ・ラコストと結婚したことで、ラコストの名が加わりました。その息子ピエール=フレデリックは1855年に館を建て直し、同じ年にワインはメドック格付けに選ばれています。1932年にはレイモン・デュパンが取得。1978年、ジャン=ユージェーヌ・ボリーへ地所を譲り、運営はその息子フランソワ=グザヴィエに託されました。翌1979年、フランソワ=グザヴィエと妻マリー=エレーヌが館へ移り住み、建物と畑の修復を進めます。現在の公式紹介では、エムリーヌ、ロランス、ピエール=アントワーヌの子どもたちも家族の事業に加わっています。古い絵はがきや版画には、館を囲む低い建物とブドウ畑が描かれています。ワインのラベルにも館の図案があるので、建物の輪郭を見比べると、名前だけでは捉えにくい地所の姿が分かります。

シャトー・グラン・ピュイ・ラコストを写真で見る

ブドウ畑の向こうに館と低い醸造施設が見える古い絵はがき
1900〜1920年ごろの館と畑を写したグラン・ピュイ・ラコストの絵はがき(画像: 作者不詳 / William Ellison所蔵絵はがき / Public domain) Wikimedia Commons / Public domain
館と塔、ブドウ畑、馬車を描いたグラン・ピュイ・ラコストの版画
シャルル・ラルマンによる地所の図版。館の屋根や塔、畑の配置を描いています(画像: Charles Lallemand / CC0 1.0) Wikimedia Commons / CC0 1.0
赤いキャップと館の図案があるグラン・ピュイ・ラコスト1996年のボトル
1996年のボトルに見る館の図案とPAUILLACの表記。紹介する2006年商品の現物写真ではありません(画像: BerndB / CC BY-SA 3.0) Wikimedia Commons / CC BY-SA 3.0
砂利質の畑で葉の間に実るカベルネ・ソーヴィニヨンの房
主品種カベルネ・ソーヴィニヨンの資料写真。撮影地はスミス・オー・ラフィットで、グラン・ピュイ・ラコストの畑ではありません(画像: Megan Mallen / CC BY 2.0) Wikimedia Commons / CC BY 2.0
草の生えた畝の両側にメルローの房が実るブールの畑
ブレンドに使うメルローの資料写真。ボルドー右岸のブールで撮られたもので、このシャトーの畑ではありません(画像: michael clarke stuff / CC BY-SA 2.0) Wikimedia Commons / CC BY-SA 2.0

シャトー・グラン・ピュイ・ラコストのおすすめワイン

この記事にはAmazonアソシエイトリンクが含まれます。

シャトー・グラン・ピュイ・ラコストの味わいを知るなら、まずは代表的な銘柄から選ぶのがおすすめです。

シャトー・グラン・ピュイ・ラコスト 2006 赤 750ml

シャトー・グラン・ピュイ・ラコストらしさを感じやすい1本として、ヴィンテージや販売者、配送条件を確認しながら選びたい候補です。

シャトー・グラン・ピュイ・ラコスト 2006 赤 750mlをAmazonで見る

まとめ

シャトー・グラン・ピュイ・ラコストは、フランスのワインを知るうえで押さえておきたい造り手です。産地の個性、歴史、代表的なワインを知っておくと、ボトルを選ぶときの判断材料が増えます。まずは代表的なキュヴェのスタイルを確認し、料理や熟成感の好みに合わせて選ぶとよいでしょう。

参考情報








編集情報

この記事はWine Bazaar編集部が、公開情報・取材情報・商品情報を確認し、読者がワインを選びやすくなることを目的に作成しています。内容は必要に応じて更新します。

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