ロシュ・オー・モワンヌ

ロシュ・オー・モワンヌワインの特徴とは

   

ロワール地方のAOCサヴェニエールの中でも最良とされる区画で、2011年から独立したAOCとして認められた。シュナン・ブラン種の辛口白ワインが造られる。同様の区画にクレー・ド・セランがある。

クレー・ド・セランの南西に位置するロッシュ・オー・モワンヌは「修道士の岩」を意味するその名が表す通り、固い片岩や片岩、砂岩が隆起した土壌から生まれる。耕作面積は33ヘクタール。堅牢での高いこの地区のワインは、ミネラル分を多く含み、熟成させてこそ花開くとされる。

ロワール河の右岸に張り出した岩の多い南東向きの斜面は、サヴェニエールの中でも最高峰の地区である。複雑で神秘的なクレー・ド・ラ・セランに比べて、ロッシュ・オー・モワンヌは明るく壮麗な畑と例えられ、両者はフランスの極上ワインのひとつとされる。

ロッシュ・オー・モワンヌの大部分を所有するのは、ドメーヌ・オー・モワンヌのラロッシュ家である。ドメーヌの基礎はサン・ニコラ・ダンジェの修道僧によって築かれ、1063年に最初に葡萄が植えられた。このAOCにはクレー・ド・セランの単独所有者であるニコラ・ジョリー氏の畑もあるが、このドメーヌの畑は年によっては彼のワインよりも高評価を得る。また、高額なクレー・ド・セランに対してその2分の1程度の価格である。2009年よりビオディナミ農法の認証を受け、手摘みによる収穫が行われており、熟したブドウから順に通常5回に分けて収穫されている。ロッシュ・オー・モワンヌの中でニコラ・ジョリー氏によって造られるワインはラベルに「クロ・ド・ラ・ベルジュリー」と表記される。ニコラ・ジョリー氏はクレー・ド・セランが有名だが、ロッシュ・オー・モワンヌはより親しみやすいとされる。

このAOCのワインは、ブルゴーニュのモンラッシェに優るとも劣らない味わいを持ち、20世紀初頭にモンラッシェ以上に高い取引価格を付けたことから世界的に認められた。生産量が少ないため、世界中のワイン商が長年通っても僅かしか分けてもらえないという貴重なワインである。長熟でボディが強く、通常10年程の熟成を経て真価を発揮する。色調は光輝く黄金色で、杏のコンポート、ハチミツを連想させる甘い濃密な香りに加え、ジャスミンやキンモクセイの花の芳香がある。熟成によってキノコやシェリーのアロマも出現する。ミネラル感のある複雑な味わいと果実の味わいに上品な酸味がバランスよく調和し、ただ爽やかなだけでなくヴェルヴェッティで優雅な味わいである。

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