ヘレス・デ・ラ・フロンテラの気候・風土
ヘレス・デ・ラ・フロンテラはイベリア半島の南にある都市。ヘレスの一大産地として知られる。
ヘレスとはこの地とその周辺地域で生産される酒精強化ワインのことで、一般的には「シェリー酒」という名で呼ばれている。
特に内陸寄りのヘレス・デ・ラ・フロンテラと大西洋側のサンルーカル・デ・バラメダ、エル・プエルト・デ・サンタ・マリアの3点を結んだ地域一帯は「シェリーの三角地帯」と呼ばれている。
この地域一帯はアルバリサと呼ばれる石灰質の土壌で、雨の少ない夏でもぶどうに水分を与え、上質なワインを生む。上記地域で生産されるワインのうち、特定の条件を満たしたものだけが「ヘレス=ケレス=シェリー」または「マンサリーニャ=サンルーカル・デ・バラメダ」という原産地呼称を名乗ることができる。
ヘレス・デ・ラ・フロンテラのワインの特徴
ヘレスは9割以上がパロミノというアンダルシア原産の白ぶどうを原料とする。糖分と酸味が少ないため通常のワインには向かないが、シェリーの原料となると、ティオペペに代表される辛口の上質なヘレスとなる。その熟成期間や味わいによってフィノやオロロソ、クリームなどに分類される。
発酵時にフロール(スペイン語で「花」)と呼ばれる産膜酵母に覆われ、これがヘレス特有の香りと味わいを生む。発酵後にブランデーなどを加えて酒精強化し、古いヘレスと新しいヘレスをブレンドするソレラシステムという手法で一定の味を保つ。
特にアルバリサ土壌から生まれたパロミノは更に上質とされ、80%が「ヘレス・スペリオール」の呼称を認められている。
エピソード
ヘレスの歴史は古く、フォーティファイド(酒精強化)ワインとしては最古のものであるといわれる。紀元前1100年頃にフェニキア人によってぶどうが持ち込まれ、ヘレスはアラブ人から「シェリシュ」と呼ばれ、後の英語表記「シェリー」の元になっている。フランスでは「セレス」と呼ばれるが、すべて同じシェリー酒を意味している。
ヘレス・デ・ラ・フロンテラの代表的なワイン
ゴンザレス・ビアス ティオペペ フィノ
ミラ・ラ・マル・オロロソ
マルケス・デ・ロディル・パロ・コルタド
モレニータ・クリーム
ゴベルナドール・オロロソ
イダルゴ・アモンティリャード
マンサニージャ・マリア・クリスティーナ