プチ・ヴェルドの意味/品種
プチ・ヴェルド(Petit Verdot)とは、フランス南西部のボルドー地方が原産とされる赤ワイン用ブドウ品種。ボルドーブレンドに数パーセントの割合で混ぜられる。オーストラリアで積極的に栽培され、南オーストラリアでは単一品種のワインも造られている。
フランス語で小さいことを意味する「プチ」と、黒ブドウ品種であるにも関わらず緑を意味する「ヴェルド」という名を持つが、これは開花時の気象条件によっては完熟を待たずに未熟なまま実を落としてしまうという弱点に因るものとされている。
プチ・ヴェルドの特徴
赤のブレンドワインにプチ・ヴェルドを添えることで、風味に複雑さを付け加えることが出来る。若いうちはバナナや鉛筆の削りかすのような香り、成熟するにつれてスミレやなめし皮のような香りが立つとも評される。濃く深いルビー色が美しく、酸とタンニンに富む品種である。
この品種のボルドー地方における歴史はカベルネ・ソーヴィニヨンよりも古いとされるが、その正確な発祥地は不明である。18世紀の記録は見つかっているが、熟するのが遅いという特徴からボルドー地方よりも温暖な気候の土地で発祥したのではないかとも推測されている。
プチ・ヴェルドの主な産地
フランスではほぼ全てのプチ・ヴェルドはボルドーで栽培されており、その中でも主にメドック地区で伝統的なボルドーブレンドのワインに少量が加えられている。
この品種はボルドー地方の気候下では他の品種が熟する時期に完熟できず、品種本来の味わいが出にくい。そのためカベルネ・ソーヴィニヨンを主としたミディアムボディのブレンドのワインに1-3%程度追加することでタンニン、色味、風味を加え、力強さを加える補強的な役割をさせることが多い。ただしメドック地区マルゴー村のシャトー・パメルではメルローを主としたブレンドワインに強さを与えるため、6%のプチ・ヴェルドを加えている。
オーストラリアでは好んで栽培されており、特に南オーストラリアではフランスの4倍にあたる栽培面積で栽培されている。気候が適していて完熟した果実を十分に使うことができるため、単一品種のワインも積極的に造られている。
その他ではアルゼンチン、チリ、アメリカや、イタリア、スペイン、ポルトガルの一部地域、ニュージーランドや南アフリカなどで栽培されている。特にカリフォルニアの温暖な気候はこの品種を安定的に完熟させるのに適しており、オーストラリアのようにプチ・ヴェルド単一品種のワイン醸造に取りくみ始めている。