オーバーモーゼルの気候・風土
モーゼル川流域にはたくさんのワイン産地があり、大きく6つのベライヒ(生産地区)に分けられるが、その中でも川の上流に位置するのがオーバーモーゼルだ。
ザール川との合流地点にあるコンツの町はザール=ルーヴァーに属するが、ここからさらに上流のパルツェル村がオーバーモーゼルとなる。ルクセンブルグとの国境に近い。
モーゼル川流域はドイツにしては比較的温暖だが、オーバーモーゼルは川の上流にあるため、冷涼な気候の地域が多い。
モーゼル地方におけるぶどう畑の特徴として、畑が急斜面にあることが挙げられる。そのため、ぶどうの栽培や収穫は基本的に全て人手によって行われる。
オーバーモーゼルのワインの特徴
オーバーモーゼルといえば、土着品種の白ぶどうエルブリングによる辛口の白ワインが有名だ。
モーゼル川流域で栽培され、ワインの原料として広く使用されているぶどうにリースリングがあるが、エルブリングはそうした味わいとは異なり、どちらかといえばソーヴィニヨン・ブラン種に近く、すっきりとした酸味とコクを備えている。
オーバーモーゼルのパルツェム村では、シュロス・トーン畑と、その畑を所有する醸造所が有名で、その歴史は長い。こちらもエルブリングを用いたワインづくりを行っている。
エピソード
エルブリングはローマ時代から続く品種で、ルクセンブルグでも栽培されている。エルブリングは寒冷地においても熟するという特徴があるため、冷涼なオーバーモーゼルにおいても完熟する。またスパークリングワインの高級品ゼクトの原料でもあり、むしろこちらでよく知られている。
オーバーモーゼルの代表的なワイン
エルブリング・クラシック / マルガルテンホフ(ヴェーバー)
エルブリング カビネット / シュロス・トーン