ロゼワインとは赤ワインと白ワインの各原料や製造方法を組み合わせて造られる、ピンク色をしたワイン。バラの花の色に例えてロゼワインと呼ぶ。
白ワインと同様、一般的に長期熟成は行われない。味は比較的さっぱりしていて新鮮なフルーツの香りが残る。白ワインと同様に辛口から甘口のものまであり、さっぱりとした口当たりからフランスでは夏になると店頭に多く並ぶ。
フランスのロゼワインで有名なのは、ローヌ地方のタヴェル・ロゼである。色は玉葱の皮のようなオレンジ色の濃いピンク色をした辛口で、ロゼとしてはコクがある。
また、ロワール地方AOCアンジュー地区で固有品種のグロロを原料としたロゼ・ダンジュも良く知られ、明るいピンク色でやや甘口のロゼである。アンジュー地区では他にカベルネ・ダンジュというカベルネ・フラン種のみで造られたロゼが有名である。
他にもAOCを持つ栽培地域として南仏プロヴァンス地方のロゼ生産量は多く、ボルドー、ブルゴーニュでもロゼのAOCが存在する。
ポルトガルではマテウス・ロゼが単一銘柄としては世界で最も売れている。
アメリカではジンファンデルを使ったホワイト・ジンファンデルが一般的である。アメリカでロゼワインはホワイト・メルローのようにブドウ品種の前に「ホワイト」をつけて呼ぶこともある。
最も一般的な製造方法はマセレーション方式である。黒ブドウや果皮色素の薄いブドウを果皮ごと原料として発酵の初期段階まで赤ワインの醸造法と同じように行い、発酵がはじまりバラ色になったところで果汁を果皮や種子と分離して低温発酵させる。これはセニエ方式とも呼ばれ、いわゆるピンク・シャンパンとして知られるロゼ・シャンパンでも用いられている。ただし、シャンパンに限っては白のシャンパンに赤ワインを混ぜる場合もある。EUの規定によって赤ワインと白ワインを混ぜてロゼとすることは禁じられているが、このシャンパンの製造方法に限って許可されている。
マセレーション法の他に2つの製造方法がある。直接圧搾法は黒ブドウを圧搾し果汁のみを発酵させる方法で、白ワインの製法で黒ブドウを原料とするものである。圧搾時に果皮の色素が浸出され、これにより程よいバラ色となる。混醸法は、黒ブドウと白ブドウを混ぜて仕込む方法で、製造工程は白ワインと同様である。「クラレット」と呼ばれていた昔のボルドーワインはこの製法が用いられていた。