カベルネ・フランの意味/品種
カベルネ・フラン(Cabernet Franc)とは、フランス南西部のボルドー地方原産の赤ワイン用ブドウ品種。
一般的にはカベルネ・ソーヴィニヨンやメルローとブレンドする目的で栽培されることが多く、赤ワインのブレンドに欠かせない品種である。
一般的にカベルネと言うとカベルネ・フランとカベルネ・ソーヴィニヨンの両方を指すが、イタリア北西部ではカベルネ・フランを指すことが多い。
カベルネ・ソーヴィニヨン種の原種であり、1997年に行われたDNA研究の結果、ソーヴィニヨン・ブランとともにカベルネ・ソーヴィニヨン種の自然交配親であることが判明した。17世紀にフランス南西のボルドー地方リブルネ地区に根付いたとされる。
カベルネ・フランの味わい/香り
明るめの色調で、程よくしなやかな渋味と酸味を合わせ持った繊細な味わいが特徴的。軽めからやや中くらいのボディのものが多いが、水はけがよく石灰質の高い土壌で栽培されるブドウからはより重厚なワインができる。力強いブドウと合わせることでこの品種の芳香が引き立つ。
土壌差はあるが、カベルネ・ソーヴィニヨンによく似たブルーベリーやカシス、さくらんぼや木イチゴといった果実香、また未成熟なカベルネ・ソーヴィニヨンに見られる野菜系の香りや煙草の香りも持つ。
カベルネ・フランの特徴
カベルネ・フランのワインはその柔らかなタンニンとフレッシュな香りから、やや素朴でおとなしい印象があるとも言えるが、その味わいを活かしてロワール地方の一部では単一品種のものも造られている。ロワール地方中部のAOCアンジューのロゼワインのカベルネ・ダンジュは、カベルネ・フランの単一品種で造られていることで有名である。他にも同地方のAOCシノン、ソーミュール、ブルグイユなどの赤ワインはこの品種を主体として造られている。フランス国内ではブレトン、ブーシェ、ブーシーなど土地ごとに異なった呼び方をすることがある。
カベルネ・フランの主な産地
世界各地で生産されている品種であるが、フランスにおける生産量は圧倒的に多く世界の80%を占めている。
イタリアでは近年カベルネ・フランに再び注目が集まっており、カベルネ・ソーヴィニヨンからカベルネ・フランに植え替えている生産者が多い。
ヨーロッパ各地の他にもアメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ、南米など世界中で広く栽培されている。日本では山梨県を中心にこの品種を導入しているワイン園がいくつかある。カナダやアメリカではアイスワインの原料としても栽培されている。