粘土石灰質の斜面にブドウ畑が広がり、淡い石造りの醸造施設と小さな鐘楼が見える風景
ワイナリー

シャトー・アンジェリュス

シャトー・アンジェリュス(Château Angélus)は、フランス・ボルドー地方サン・テミリオンを代表する造り手のひとつです。名前は聞いたことがあっても、どんな土地で、どのような考え方のもとにワインを造っているのかまでは意外と整理しにくいものです。

この記事では、シャトー・アンジェリュスの特徴、ワインづくり、代表的なワイン、歴史を分かりやすく紹介します。造り手の背景を知っておくと、ラベルだけでは見えにくい味わいの方向性や価格の理由も理解しやすくなります。

粘土石灰質の斜面にブドウ畑が広がり、淡い石造りの醸造施設と小さな鐘楼が見える風景
アンジェリュス公式が伝える南向き斜面、円形劇場状の畑、鐘の記憶を参照し、別構図のサン・テミリオン風景としてWine Bazaar編集部が制作したイメージ(画像: Wine Bazaar編集部)

シャトー・アンジェリュスとは

産地とスタイル

シャトー・アンジェリュスは、フランス・ボルドー地方サン・テミリオンの風土と深く結びついたワイナリーです。産地の気候、土壌、品種の個性を生かしながら、その地域らしさが伝わるワインを生み出しています。

草花の残る斜面畑で作業者が黒ブドウを手摘みし、小さな収穫箱へ運ぶ様子
アンジェリュス公式の畑管理とカベルネ・フランの資料を参照し、被覆作物が残る畝での手摘みを別構図でWine Bazaar編集部が制作したイメージ(画像: Wine Bazaar編集部)

評価される理由

シャトー・アンジェリュスは、サン・テミリオンの町から1キロ足らず、三つの教会の鐘が朝・昼・夕に響いた自然の円形劇場のような南向き斜面と、その麓に畑を持つ家族経営の名門です。グラン・ヴァン用の畑は33ヘクタールで、植栽はメルロー52%、カベルネ・フラン47%、プティ・ヴェルド1%、平均樹齢は39年。粘土石灰質を基調に、粘土の多い斜面へメルロー、砂を含む粘土石灰質の麓へカベルネ・フランを配します。早く温まる南向き斜面がもたらす豊かさに、カベルネ・フランの花、スパイス、メントールを思わせる香り、緻密で絹のようなタンニン、長い鮮度を重ねるのがアンジェリュスの個性です。鐘のラベルは、畑仕事を区切ったアンジェラスの祈りと土地の記憶を象徴しています。

ワインづくりのこだわり

畑では収穫後にライ麦、ソラマメ、エンドウ、アルファルファ、クローバー、菜種、マスタード、ダイコン、ライグラスなどの被覆作物を区画の状態に合わせて播き、樹木や生け垣を増やして鳥やコウモリ、昆虫が暮らす環境を整えています。グラン・ヴァンの新しい醸造庫は地下約7メートルに設けられ、木、ステンレス、コンクリートの逆円錐台形タンクを吊るす独自構成。果実とワインを重力で扱い、ゆっくり穏やかなアンフュージョンで過度な抽出を避けます。2018年からは30ヘクトリットルのフードルを導入し、現在はカベルネ・フランのおよそ半分を大樽で熟成。小樽よりワインと木・酸素の接触を抑え、香りの純度、張り、スパイス感を前へ出します。カリヨン用の半地下式醸造所も、18基の逆円錐台形タンク、光学選果、重力移送、酸素管理、再生可能エネルギーを組み合わせています。

石灰岩とコンクリートの地下醸造庫に木、ステンレス、コンクリートの逆円錐台形タンクが並ぶ様子
アンジェリュス公式が説明する地下醸造庫と木・ステンレス・コンクリートの逆円錐台形タンクを参照し、別構図でWine Bazaar編集部が制作したイメージ(画像: Wine Bazaar編集部)

代表的なワイン

Château Angélus

南向き斜面と麓の区画から選び抜くグラン・ヴァンです。熟した黒い果実とクリーミーな厚みに、カベルネ・フランの花、コショウ、メントールを思わせる香り、きめ細かなタンニン、張りのある酸が重なります。ヴィンテージごとにメルローとカベルネ・フランの比率を変え、たとえば2021年はカベルネ・フラン60%という当時初の構成、2024年はメルロー60%とカベルネ・フラン40%。力強さだけでなく、長い熟成でほどける香りの精度と余韻を大切にするワインです。

Carillon d’Angélus

1987年に始まった、独自の個性を持つサン・テミリオン・グラン・クリュです。複数のテロワールからメルロー、カベルネ・フラン、カベルネ・ソーヴィニヨンを選び、専用の半地下式醸造所で区画とロットに合わせて仕込みます。純度の高い果実、ビロードのようなタンニン、端正な酸と上品な余韻を備え、グラン・ヴァンより早い時期から楽しみやすい一方、熟成にも応えます。

Tempo d’Angélus

8世代の経験を日常の食卓へ近づけるため、2019年に生まれたボルドーです。メルロー主体で、赤黒い果実、丸み、しなやかなタンニンを率直に表し、長い待ち時間を必要とするグラン・ヴァンへの入口にもなります。Amazon.co.jpでは2023年750mlのASIN付き商品ページを確認し、『残り2点』の在庫表示とカート、今すぐ買うの購入導線がありました。ローストした鶏や豚、きのこ料理、熟成チーズなど、香ばしさと旨味のある料理に合わせやすい一本です。

石灰岩壁の窓辺に赤ワインのグラス、無地のボトル、パン、チーズ、きのこ料理を置いた木の食卓
アンジェリュスの果実味とカベルネ・フランの鮮度を食卓で想像できるよう、無地ボトルときのこ料理を別構図でWine Bazaar編集部が制作したイメージ(画像: Wine Bazaar編集部)

ワイナリーの歴史

1782年、国王の護衛だったジャン・ド・ブアール・ド・ラフォレストがサン・テミリオンへ移住。1795年に娘カトリーヌ=ソフィーがマズラの畑を持つシャルル・スフラン・ド・ラヴェルニュと結婚し、家族と土地の物語が始まりました。20世紀初めにモーリス・ド・ブアール・ド・ラフォレストが地所を継ぎ、1920年に『ランジェリュス』と呼ばれる3ヘクタールの囲い畑を加えます。1954年の最初のサン・テミリオン格付けでグラン・クリュ・クラッセとなり、1985年にユベール・ド・ブアール・ド・ラフォレストが運営を担って畑と醸造の精度を高め、2012年格付けではプルミエ・グラン・クリュ・クラッセAへ昇格しました。現在は8代目のステファニー・ド・ブアール=リヴォアルが率い、家族史、カベルネ・フラン、環境配慮、重力を生かす新醸造所を次代へつないでいます。

シャトー・アンジェリュスを写真で見る

1992年、サン・テミリオン、鐘、アンジェリュスの文字を焼き印した木箱の拡大
1992年ヴィンテージの木箱に刻まれた鐘とアンジェリュスの名。祈りの鐘を地所の象徴としてきた歴史が見える資料です(画像: Jamain / CC BY-SA 3.0) Wikimedia Commons / CC BY-SA 3.0
白背景に立つシャトー・アンジェリュス2015年のボトルと金色の鐘ラベル
鐘を中心に据えた2015年ヴィンテージのラベル。家族名、サン・テミリオン、当時の格付けを一本の意匠にまとめています(画像: Somm88 / CC BY-SA 4.0) Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0
鐘を描いた古い金色ラベルが見えるシャトー・アンジェリュス1990年のボトル
ユベール・ド・ブアールが運営を担い始めた1980年代の刷新後に生まれた1990年。長い熟成を前提にした時代のラベルと瓶形を伝えます(画像: BerndB / CC BY-SA 3.0) Wikimedia Commons / CC BY-SA 3.0
L'Angélus、1978年、鐘の意匠が見える熟成ボトルのラベル
1978年のラベルには旧表記『L’Angélus』と鐘が残ります。現在のAngélusへ至る名称と意匠の変化を読み取れる一本です(画像: Joel Bez / CC BY 2.0) Wikimedia Commons / CC BY 2.0
ブドウ樹の葉の下に実る熟したカベルネ・フランの小粒な黒ブドウの房
アンジェリュスの植栽の47%を占め、花、スパイス、メントールを思わせる香りと鮮度、長い熟成力を支えるカベルネ・フランの資料写真です(画像: Ursula Brühl / Julius Kühn-Institut / CC BY-SA 4.0) Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0
歴史的な石造りの町サン・テミリオンと周囲に広がるブドウ畑を高所から見渡した風景
教会塔と石造りの町を囲むサン・テミリオンの畑。町から1キロ足らず、鐘の音が届く斜面にあるアンジェリュスの地理を俯瞰できます(画像: Jordy Meow / CC BY-SA 3.0) Wikimedia Commons / CC BY-SA 3.0

シャトー・アンジェリュスのおすすめワイン

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シャトー・アンジェリュスの味わいを知るなら、まずは代表的な銘柄から選ぶのがおすすめです。

シャトー アンジェリュス テンポ ダンジェリュス 2023 750ml

シャトー・アンジェリュスらしさを感じやすい1本として、ヴィンテージや販売者、配送条件を確認しながら選びたい候補です。

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まとめ

シャトー・アンジェリュスは、フランスのワインを知るうえで押さえておきたい造り手です。産地の個性、歴史、代表的なワインを知っておくと、ボトルを選ぶときの判断材料が増えます。まずは代表的なキュヴェのスタイルを確認し、料理や熟成感の好みに合わせて選ぶとよいでしょう。

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編集情報

この記事はWine Bazaar編集部が、公開情報・取材情報・商品情報を確認し、読者がワインを選びやすくなることを目的に作成しています。内容は必要に応じて更新します。

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