コトー・デュ・レイヨン

コトー・デュ・レイヨンワインの特徴とは

   

フランスロワール地方のワイン産地のひとつで、アンジュー地区の中央部を斜めに横切るロワール支流のレイヨン川流域にあたるAOCシュナン・ブランの単一品種で、貴腐または遅摘みの極甘口の白ワインが造られる。

このAOCは、メーヌ・エ・ロワール県に属する27の村で造られたワインに認められ、ブドウ耕作面積は1,350ヘクタール。中でも6つのコミューンは別格とされ、コトー・デュ・レイヨン・ヴィラージュとしてコミューン名を加えた格上のAOC名が認められる。また、さらに格上のAOCとして独立した2つの地区ショームとボヌゾーがある。ショーム村の中でも特に優れた20ヘクタール相当の区画はAOCカール・ド・ショームと称されている。畑名AOCはブルゴーニュ地方に見られる格付け制度であるが、村名AOC(コミューン)から更に細分化した1級(プルミエ・クリュ)や特級(グラン・クリュ)にあたるAOCがあるのは、この地域の特色である。多くのAOCが混在するロワール地方にあって、コトー・デュ・レイヨンには類似するAOC名が混在していると言える。

生産指定地域はレイヨン川の北岸に位置する日当たりの良い斜面にあり、風通しのよい丘陵地帯である。レイヨン川に流れ込む様々な小川によるミクロクリマ(微気象)の恩恵を受けて良質のシュナン・ブランが収穫され、貴腐ワインや遅摘みワインといった極甘口の傑出したワインが産出される。これらは醸造された後10年から20年の熟成を経てから出荷される芳醇で長命なワインである。
色調は緑色がかった黄金色で、熟成と共に琥珀色を帯び、古色を帯びた金色となる。香りは強く複雑で、カリンやハチミツを思わせる甘美で優しい味わいがある。爽やかさの中に奥行きと長く続く余韻を持ち、丸みのある味わいはボルドーのソーテルヌに劣らず素晴らしいと評される。

この地区の甘口白ワイン造りの歴史は古く、ロンスレ修道院の下にボトリティス・シネレア菌が付着した貴腐又は遅摘みブドウでのワイン醸造が開拓された。ワイン販路が拡大したのは17世紀で、オランダ商人の活躍によるところが大きい。16-17 %の高いアルコール度数は輸出の長旅に耐え、オランダの顧客の嗜好に合ったこともあり、高品質なものが多く輸出された。現在は観光スポットになっている水門や橋は、早くからこの地がワイン交易にための水路を作っていた好例である。

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