芝生と樹木の向こうに横長の白い館が立つシャトー・ベイシュヴェルの全景
ワイナリー

シャトー・ベイシュヴェル

シャトー・ベイシュヴェル(Château Beychevelle)は、フランス・ボルドー地方サン・ジュリアンを代表する造り手のひとつです。名前は聞いたことがあっても、どんな土地で、どのような考え方のもとにワインを造っているのかまでは意外と整理しにくいものです。

この記事では、シャトー・ベイシュヴェルの特徴、ワインづくり、代表的なワイン、歴史を分かりやすく紹介します。造り手の背景を知っておくと、ラベルだけでは見えにくい味わいの方向性や価格の理由も理解しやすくなります。

芝生と樹木の向こうに横長の白い館が立つシャトー・ベイシュヴェルの全景
左右に翼を広げるシャトー・ベイシュヴェルの館。サン・ジュリアンの畑とジロンド川に近い平坦な景観の中で、長い歴史を伝えています(画像: PA / CC BY-SA 4.0) Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0

シャトー・ベイシュヴェルとは

産地とスタイル

シャトー・ベイシュヴェルは、フランス・ボルドー地方サン・ジュリアンの風土と深く結びついたワイナリーです。産地の気候、土壌、品種の個性を生かしながら、その地域らしさが伝わるワインを生み出しています。

丸い砂利が広がるサン・ジュリアンの畑で黒ブドウの房が実るブドウ樹の列
公式の畑・土壌資料を参照し、砂礫と成熟した黒ブドウを歩く目線の別構図で制作したWine Bazaar編集部のイメージ(画像: Wine Bazaar編集部)

評価される理由

シャトー・ベイシュヴェルは、1855年メドック格付け第4級に選ばれたサン・ジュリアンの名門です。ジロンド川左岸に250ヘクタールの所有地を持ち、そのうち90ヘクタールがブドウ畑。残る草地と森にはリムーザン牛も暮らし、畑だけを切り離さない生態系として管理しています。中心となるのは、更新世に形成された二つの深いガロンヌ砂礫台地です。水はけがよく、日中の熱を夜に返す丸い砂利と、近くのジロンド川が和らげる気温変化が、熟度と鮮度の両立を支えます。植栽はカベルネ・ソーヴィニヨン57%、メルロー40%、プティ・ヴェルド3%。黒系果実、スパイス、控えめな樽香、きめ細かなタンニンを、サン・ジュリアンらしい優雅さと長い余韻へまとめます。

ワインづくりのこだわり

平均樹齢約38年の畑は1ヘクタール当たり8,300〜10,000本の高密度で植えられ、区画ごとに土壌と樹の状態を観察して作業を変えます。2016年に完成したアルノー・ブーラン設計の半地下式醸造所は、光、温度、湿度、水使用を抑えるバイオクライマティック設計です。59基のタンクのうち37基は二重壁の円錐台形ステンレスタンクで、90ヘクタールの区画を分けて仕込める構成。果実は重力で受け入れ、デレスタージュ、ルモンタージュ、ピジャージュを果実とヴィンテージに合わせて穏やかに使い分けます。地下の熟成庫には約3,000樽が並び、試飲を重ねながら新樽比率と熟成期間を調整し、果実の純度と砂礫土壌の奥行きを無理なく引き出します。

コンクリートとガラスの半地下式醸造所に円錐台形のステンレスタンクが並ぶ様子
公式の半地下式醸造所と区画別発酵の資料を参照し、ステンレスタンクの通路を別構図で制作したWine Bazaar編集部のイメージ(画像: Wine Bazaar編集部)

代表的なワイン

Château Beychevelle

最良区画を厳選して仕込むグラン・ヴァンです。カベルネ・ソーヴィニヨンを骨格に、メルローの丸みとヴィンテージごとの補助品種を重ね、カシスやブラックベリー、スパイス、控えめな木の香りを、緻密で絹のようなタンニンが支えます。若いうちはデキャンタで開かせ、熟成後は複雑な香りの変化をゆっくり楽しみたいタイプ。Amazon.co.jpでは2021年750mlのASIN付き商品ページを確認し、『残り3点』表示とカート、今すぐ買うの購入導線がありました。

Amiral de Beychevelle

1974年に生まれたセカンドワインで、船と提督の物語を名に残します。専用に選ばれた畑から造られ、花やスパイス、鮮やかな果実味、張りのある酸、構造を保ちながらもシルキーなタンニンが特徴。グラン・ヴァンより早い時期から、ベイシュヴェルの精度と優雅さに親しめます。

Brulières de Beychevelle

本拠から約5キロ離れた、より涼しいオー・メドックのテロワールから生まれるワインです。カシスや赤い果実、スパイスを、丸くバランスのよい口当たりにまとめた素直なスタイル。気負わない食卓で、ロースト料理や肉の煮込みに合わせやすい一本です。

帆船を描いたラベルが見えるシャトー・ベイシュヴェル1989年のボトル
長い熟成を経た1989年のシャトー・ベイシュヴェル。帆船の意匠と格付けを記すラベルが、このワインの海と歴史の物語を伝えます(画像: Geographer / CC BY-SA 4.0) Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0

ワイナリーの歴史

1565年、ボルドー司教フランソワ・ド・フォワ=カンダルが館を建てたことから歴史が始まります。16世紀末、この地を所有したエペルノン公爵に敬意を表し、ジロンド川を通る船が帆を下げたという伝承が、ガスコーニュ語の『Bécha Véla(帆を下げよ)』、そしてベイシュヴェルの名と船の紋章につながりました。1709年の厳冬後にはジャン=バティスト・ダバディが畑を植え直し、1717年にはエティエンヌ=フランソワ・ド・ブラシエが私設港を築いて販路を広げます。1825年に取得したピエール=フランソワ・ゲスティエは畑と設備を再編し、1855年の格付け、1866年の金賞へ導きました。1875年にはアルマン・ハイネ夫妻が北翼を増築。1974年にセカンドワインのアミラル・ド・ベイシュヴェルが誕生し、2011年以降はカステルとサントリーの共同体制のもと、ISO 14001や2016年の新醸造所へ歩みを進めています。

シャトー・ベイシュヴェルを写真で見る

曲面天井の地下熟成庫にフレンチオーク樽が何列も並ぶ静かなセラー
公式の約3,000樽を収める熟成庫の説明を参照し、曲面天井と樽列を別の見学者目線で制作したWine Bazaar編集部のイメージ(画像: Wine Bazaar編集部)
シャトー・ベイシュヴェルの白い館を背景に帆船を表す記念碑が立つ庭園
館を望む庭園に立つ『帆を下げよ』のモニュメント。通航する船がエペルノン公爵へ敬意を示したという伝承を風景の中で伝えます(画像: Tracey & Doug / CC BY-SA 2.0) Wikimedia Commons / CC BY-SA 2.0
シャトー・ベイシュヴェルの白い翼部と小さな礼拝堂を芝生越しに見る外観
館の背面に続く翼部と礼拝堂。1875年の北翼増築を含め、時代ごとの建築が一つの邸宅に重なっています(画像: PA / CC BY-SA 4.0) Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0
帆船とシャトー・ベイシュヴェル、1955年の表記が見える古いワインラベル
1955年ヴィンテージのラベル。波間を進む帆船は、ベイシュヴェルの名の由来となった『帆を下げよ』の伝承を象徴します(画像: Murgh / Public domain) Wikimedia Commons / Public domain
前景に人物と樹木、奥にシャトー・ベイシュヴェルを描いた1838年の挿絵
シャルル・ラルマンが1838年のボルドーワイン書に描いたベイシュヴェル。格付け以前の館と庭園を伝える歴史資料です(画像: Charles Lallemand / CC0) Wikimedia Commons / CC0
池と庭園に囲まれたシャトー・ベイシュヴェルを俯瞰した19世紀末の線画
1898年版『Bordeaux et ses vins』のベイシュヴェル。19世紀末の庭園、館、付属建物を細かな線画で記録しています(画像: Eugène Vergez / Public domain) Wikimedia Commons / Public domain
装飾枠の中に1860年代のシャトー・ベイシュヴェル正面写真を収めた古いアルバムページ
アルフレッド・ダンフルーが1862〜1867年ごろに撮影したベイシュヴェル。格付け直後の館をアルバム写真で確認できます(画像: Alfred Danflou / Rijksmuseum / CC0) Wikimedia Commons / CC0
シャトー・ベイシュヴェルの名と帆船の焼印が見える2004年のワインコルク
2004年ボトルのコルクに残るベイシュヴェルの焼印。熟成の時間を経た一本を開けるときの小さな歴史資料です(画像: Geographer / CC BY-SA 4.0) Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0

シャトー・ベイシュヴェルのおすすめワイン

この記事にはAmazonアソシエイトリンクが含まれます。

シャトー・ベイシュヴェルの味わいを知るなら、まずは代表的な銘柄から選ぶのがおすすめです。

2021 シャトー ベイシュヴェル 750ml サンジュリアン第4級

シャトー・ベイシュヴェルらしさを感じやすい1本として、ヴィンテージや販売者、配送条件を確認しながら選びたい候補です。

2021 シャトー ベイシュヴェル 750ml サンジュリアン第4級をAmazonで見る

まとめ

シャトー・ベイシュヴェルは、フランスのワインを知るうえで押さえておきたい造り手です。産地の個性、歴史、代表的なワインを知っておくと、ボトルを選ぶときの判断材料が増えます。まずは代表的なキュヴェのスタイルを確認し、料理や熟成感の好みに合わせて選ぶとよいでしょう。

参考情報








編集情報

この記事はWine Bazaar編集部が、公開情報・取材情報・商品情報を確認し、読者がワインを選びやすくなることを目的に作成しています。内容は必要に応じて更新します。

運営会社 / お問い合わせ・広告掲載

ワインニュース・コラムを見る

About the author / 

WINE BAZAAR編集部

Wine Bazaar編集部は、ワインの新商品、イベント、業界動向、産地・品種に関する情報を確認し、読者がワインを選びやすくなる記事を制作しています。

カテゴリー