ロワール地方のAOCで、ロワール河中流に位置するアンジュー・ソーミュール地域の南部。カベルネ・フランとカベルネ・ソーヴィニヨンを中心に、比較的軽めのワインが作られている。
ソーミュールはメーヌ・エ・ロワール県のコミューン名でもあり、この地は17世紀オランダ人がロワール・ワインを海外に販売していた時代から今日まで、アンジュー・ソーミュール地域のワイン産業の中心地となっている。この地方には、築城に使った柔らかい石灰岩の採石跡の洞窟が沢山あり、その洞窟の酒蔵で熟成される。
ソーミュールの赤はソーミュール・ルージュとも呼ばれ、カベルネ・フラン種とソーヴィニヨン種から造られる。ルビー色がかった外観をしており、フランボワーズなど赤い果実とスミレの花の香り、柔らかな味わいときめ細かなタンニンを持つ、余韻が爽やかで軽やかな若飲みタイプである。
白はソーミュール・ブランとも呼ばれ、石灰質系の畑で育てられたシュナン・ブランを主体として造られる。色調は際立つ黄色で、繊細で調和の取れた辛口の味わい。白い果実のコンポートや白い花の香りにはミネラルも感じられ、上質で飲みやすく余韻が爽やかである。
多くは若飲みタイプだが長寿なものもあり、品質がよく割安であることが多い。赤の生産量は白の倍ほどで、両方を合わせてブドウ耕作面積はおよそ1,400ヘクタールである。 そのうち1000ヘクタールで赤ワインが、4000ヘクタールで白ワインが造られている。1999年にAOC認定を受けた。現在、ほぼ同じ産地で、ソーミュール・ムスーとカベルネ・ソーミュールの2つのAOCがある。
ソーミュール・ムスーはスッキリとした辛口の発泡性の白ワインで、シャンパーニュと同じ瓶内二次発酵方式で造られている。
使う品種はシュナン・ブラン主体だが、補助品種としてシャルドネ、ソーヴィニヨン・フランが20%以内で使われる。持続性のあるきめの細かい泡立ちが特徴で、どちらかと言えば、軽やかで若飲みタイプである。
9ヶ月以上の熟成を規定されているが、何世紀にも渡って石灰岩を切り出してきた、数多く残る石切場跡を貯蔵庫として使っている。
ブドウ耕作面積は1,285ヘクタールである。カベルネ・ソーミュールは、カベルネ種から造られる辛口又は半甘口のロゼワインである。酸味のバランスが清涼感を与える爽やかな若飲みタイプだが、中には長寿なものもある。栽培面積は90ヘクタールである。