サン・テステフのブドウ畑の奥にパゴダ風の塔を持つシャトー・コス・デストゥルネルが立つ風景
ワイナリー

シャトー・コス・デストゥルネル

3

シャトー・コス・デストゥルネル(Château Cos d’Estournel)は、フランス・ボルドー地方サン・テステフを代表する造り手のひとつです。名前は聞いたことがあっても、どんな土地で、どのような考え方のもとにワインを造っているのかまでは意外と整理しにくいものです。

この記事では、シャトー・コス・デストゥルネルの特徴、ワインづくり、代表的なワイン、歴史を分かりやすく紹介します。造り手の背景を知っておくと、ラベルだけでは見えにくい味わいの方向性や価格の理由も理解しやすくなります。

サン・テステフのブドウ畑の奥にパゴダ風の塔を持つシャトー・コス・デストゥルネルが立つ風景
ブドウ畑越しに見る、パゴダを戴くシャトー・コス・デストゥルネルの醸造施設(画像: Bulo78 / CC BY 3.0) Wikimedia Commons / CC BY 3.0

シャトー・コス・デストゥルネルとは

産地とスタイル

シャトー・コス・デストゥルネルは、フランス・ボルドー地方サン・テステフの風土と深く結びついたワイナリーです。産地の気候、土壌、品種の個性を生かしながら、その地域らしさが伝わるワインを生み出しています。

石造りの大きなアーチ門と三つのパゴダ風の塔を持つシャトー・コス・デストゥルネルの正面
旅と異国文化への関心を映す、シャトー・コス・デストゥルネルの大きな門とパゴダ(画像: David Perez / CC BY 3.0) Wikimedia Commons / CC BY 3.0

評価される理由

メドック北部サン・テステフの『小石の丘』に広がる100ヘクタールの畑と、異国情緒あるパゴダを備えた石造りの醸造施設で知られる1855年格付第二級シャトーです。砂利の台地の下に粘土、泥灰土、石灰岩が重なり、ジロンド河口から届く風が畑を穏やかに冷やします。栽培面積の約3分の2をカベルネ・ソーヴィニヨンが占め、メルロー、カベルネ・フラン、プティ・ヴェルドを区画の土壌と日照に合わせて植え分けます。ブドウ樹は平均45年ほどで、グラン・ヴァンには平均55年の古樹を中心に使い、力強さときめ細かな質感、スパイスを思わせる複雑さを両立させます。

ワインづくりのこだわり

畑を細かな区画やサブ区画に分け、土壌と熟度に応じて収穫・醸造ロットを分けます。2003年に温度管理できる円錐台形のステンレスタンクを導入し、現在は84基のタンクで果実を精密に醸造。2008年には収穫受け入れから瓶詰めまでポンプを使わず重力で移送するセラーを完成させ、果皮や果汁への負担を抑えて、やわらかなタンニンと香りの鮮度を守ります。タンクの下には約1,500樽を収める熟成庫があり、空気を管理しながら室温を最大15度に保ち、区画ごとのワインを熟成してから試飲とブレンドを重ねます。

ボルドーの醸造所で収穫した赤ワイン用ブドウを選果台へ載せて確認する作業
区画ごとの果実を見極めるボルドーの選果工程の一例(コス・デストゥルネルの醸造風景ではありません)(画像: davitydave / CC BY 2.0) Wikimedia Commons / CC BY 2.0

代表的なワイン

Cos d’Estournel

シャトー最古の樹を中心に造るグラン・ヴァン。カベルネ・ソーヴィニヨンの骨格にメルローの厚みを重ね、黒い果実、スパイス、紅茶や鉱物を思わせる香り、密度のある果実と長い余韻を備えます。今回のAmazon掲載商品である2017年は、カベルネ・ソーヴィニヨン66%、メルロー32%、カベルネ・フラン1%、プティ・ヴェルド1%の構成です。

Pagodes de Cos

1994年に誕生した、同じ丘の別の表情を伝える赤ワインです。冷涼な粘土石灰質区画のメルローと、選び抜いたカベルネ・ソーヴィニヨンを中心に、グラン・ヴァンと同じ重力式セラーで醸造。新樽比率を控え、10〜12か月ほど熟成させることで、生き生きした果実と滑らかなタンニンを早い時期から楽しめるように仕上げます。

Cos d’Estournel Blanc

メドックが赤ワイン中心だった時代に新しい可能性を探り、2005年から造られる白ワイン。ソーヴィニヨン・ブランとセミヨンを軸に、海洋性気候がもたらす鮮度、柑橘や白い花を思わせる香り、引き締まった余韻を表します。

G d’Estournel

メドック最北部、ジロンド河口の風を受ける別の畑から造る赤ワイン。メルローとカベルネ・ソーヴィニヨンを中心に、塩味を思わせる鮮度、赤黒い果実、ハーブやリコリスのニュアンスを備え、コスの探究心をより軽やかな輪郭で伝えます。

コス・デストゥルネル1983年のボトルと赤ワインのグラス、複数のチーズを並べた食卓
熟成したコス・デストゥルネル1983年をチーズと合わせるテーブル(画像: Renzo Grosso / CC BY-SA 3.0) Wikimedia Commons / CC BY-SA 3.0

ワイナリーの歴史

1791年、ルイ・ガスパール・デストゥルネルが数ヘクタールの畑を受け継いだことから歩みが始まりました。彼は丘の優良区画を買い足し、当時の慣習にとらわれず海外へ直接ワインを売りに出かけ、インドをはじめとする旅の記憶をパゴダや彫刻扉などの独創的な建築へ映しました。1855年のメドック格付で第二級に選ばれた後も革新を続け、1994年にパゴド・ド・コス、2003年に北メドックの別区画からゴレ(現在のG・デストゥルネルにつながる系譜)、2005年にコス・デストゥルネル・ブランを生み出しました。2000年からはミシェル・レイビエのもとで土壌の詳細な解析と醸造設備の刷新を進めています。

シャトー・コス・デストゥルネルを写真で見る

ボルドーのサン・テステフにある熟成庫で新しいオーク樽が整然と並ぶ様子
同じサン・テステフで新しいオーク樽が並ぶ熟成庫の一例(別シャトーの資料写真)(画像: HuguesDuboscq / CC BY-SA 3.0) Wikimedia Commons / CC BY-SA 3.0
19世紀末のシャトー・コス・デストゥルネルの建物と畑を描いたモノクロの歴史的図版
1893年刊『Bordeaux et ses vins』に掲載されたコス・デストゥルネルの歴史的図版(画像: Eugène Vergez / Public domain) Wikimedia Commons / Public domain
淡い石造りの壁にアーチと三つのパゴダ風の塔が並ぶシャトー・コス・デストゥルネルの外観
石壁のアーチとパゴダが連なる、コス・デストゥルネルの独創的な正面ファサード(画像: David Perez / CC BY 3.0) Wikimedia Commons / CC BY 3.0
ブドウや草花の模様を一面に彫刻したシャトー・コス・デストゥルネルのアーチ形木製扉
ブドウや花の意匠が細かく彫られた、コス・デストゥルネルの木製扉(画像: David Perez / CC BY 3.0) Wikimedia Commons / CC BY 3.0

シャトー・コス・デストゥルネルのおすすめワイン

この記事にはAmazonアソシエイトリンクが含まれます。

シャトー・コス・デストゥルネルの味わいを知るなら、まずは代表的な銘柄から選ぶのがおすすめです。

Château Cos d’Estournel 2017 750ml

シャトー・コス・デストゥルネルらしさを感じやすい1本として、ヴィンテージや販売者、配送条件を確認しながら選びたい候補です。

Château Cos d’Estournel 2017 750mlをAmazonで見る

まとめ

シャトー・コス・デストゥルネルは、フランスのワインを知るうえで押さえておきたい造り手です。産地の個性、歴史、代表的なワインを知っておくと、ボトルを選ぶときの判断材料が増えます。まずは代表的なキュヴェのスタイルを確認し、料理や熟成感の好みに合わせて選ぶとよいでしょう。

参考情報








編集情報

この記事はWine Bazaar編集部が、公開情報・取材情報・商品情報を確認し、読者がワインを選びやすくなることを目的に作成しています。内容は必要に応じて更新します。

運営会社 / お問い合わせ・広告掲載

ワインニュース・コラムを見る

About the author / 

WINE BAZAAR編集部

Wine Bazaar編集部は、ワインの新商品、イベント、業界動向、産地・品種に関する情報を確認し、読者がワインを選びやすくなる記事を制作しています。

カテゴリー