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コブレンツからボンに至るライン川の支流として、ラインラント=プファルツ州アールヴァイラー郡を流れるのがアール川だ。アイフェル山系の谷間を、蛇行しながら西へと流れる。川の渓谷沿いには、アール地域のワイン生産地が展開している。ぶどう畑は急斜面にあるため、農作業は人手によって行われる。

EUの気候区分では冷涼なBゾーンに属する。しかし、北緯50度(カザフスタンやサハリンと同緯度)に位置するにも関わらず、年間平均気温は9.5度と、緯度の割には温暖だ。

ベライヒの区分は、ヴァルポルツハイム/アールタール1つのみとなる。ヴァルポルツハイムの他、デルナウやマイショス、レッヒ、マリエンタールといった、川沿いの町が中心となる。

醸造所ではデルナウのマイヤー・ネーケル醸造所、マイショスのドイツァーホフ・コスマン・ヘーレ醸造所が有名で、ともにワイン専門誌「ゴー・ミヨ」において4房を獲得したことがある。他にマリエンタールにある州立醸造所も有力だが、2005年に経営者が変わり、州立醸造所としては閉鎖となった。

同町のクロスターガーデン、ヴァルポルツハイムのクロイターベルクやゲアカマーなど、町によってはグロースラーゲ(総合畑)を持つところもある。

ドイツワインといえばトロッケン(辛口)の白ワインが有名。しかし、アールでつくられるワインは、ドイツでは珍しく、シュペートブルグンダー(ピノ・ノワール)による赤ワインがメイン。「赤ワインの楽園」とも呼ばれる。

【アール地区の生産地区分】

<アール・ヴァルポルツハイム/アールタール>
アール地方唯一のベライヒとなる。アール川沿いに位置する。ぶどう畑は渓谷の急斜面に位置する。
ドイツの生産地としては珍しく赤ワインの生産が盛んで、総生産量のおよそ70%が赤となる。主原料はシュペートブルグンダー種、他にはポルトギーザ種などが用いられる。

1868年に創立された、世界最古のぶどう栽培者組合組織があることで有名。また、「赤ワイン散歩道」と呼ばれる遊歩道が整備されており、道中にはワイナリーやレストランが軒を連ねている。