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ナーエ川はドイツ南西部を流れる河川だ。モンツィンゲンから蛇行しながら東に流れ、バート・ミュンスター周辺で北に向きを変え、リューデスハイムでライン川に合流する。

このナーエ川と支流、グラーン川とアルゼンツ川流域に広がるのがナーエのワイン生産地だ。モーゼルとラインヘッセンに挟まれた地域にある。あたりは岩山が多く、特にローテンフェルス(Rotenfels)と呼ばれる岩山が有名。

ナーエのベライヒ(地区)はナーエタール1つのみとなる。特に、オーバーハウゼンやニーダーハウゼン、シュロスベッケルハイムといった町に優良なぶどう畑が集中している。

この地の特徴として、栽培されるぶどうの品種がたいへん多いことが挙げられる。その品種数は31にも及ぶ。ナーエタールの耕地面積は4000haほどだが、この耕地面積でこれだけ多くの種類が栽培されるのは珍しい。
なお、割合としては白ぶどうが75%ほどとなる。中でももっとも多いのはリースリング、その次にミュラー=トゥルガウ、ジルヴァーナーと続く。

多彩なぶどうの栽培が行われる理由は、土壌性質の多様さにある。下流域では粘板岩や石英、中流域のバート・クロイツナッハ周辺では砂岩や粘土質、そして上流のモンツィンゲン周辺では玄武岩や赤砂岩となる。
「土壌のパッチワーク」といわれるほど、土壌の構成は異なる。隣り合った畑で土壌の性質が異なることも珍しくない。

有名な醸造所としては、「ゴー・ミヨ」誌にて最高評価の5房を獲得したヘルマン・デンホフ醸造所がある。リースリング種やヴァイスブルグンダー種などによる辛口の白は高い評価を得ている。
また、同じく「ゴー・ミヨ」誌で06年チャンピオンに輝いたエムリッヒ・シェーンレバーによる白ワインも高い評価を得ている。

【ナーエ地区の生産地区分】

<ナーエタール>
ラインヘッセンとモーゼル地域に挟まれた地域。ナーエ川とその支流域。
下流域は黒ぶどう、上流や支流渓谷の地域では白ぶどうの栽培がさかん。土壌の性質が多様で、たいへん数多くの種類の栽培が行われているため「ドイツワインの試飲小屋」とも呼ばれる。
北部ではマイルドな、南部ではアロマの豊かなワインとなるが、共通しているのは酸味が少なく、果実味豊かなワインとなる点だ。