ボルドー地方のワイン生産地。アントル・ドゥー・メール地域の北部、ドルドーニュ川の左岸に位置し、赤ワインと辛口白ワインがAOCに指定されている。
ドルドーニュ川の左岸、リブールヌ市の対岸にあたるこの地区は赤ワインと白ワインを産出するAOCで、いずれとも比較的さっぱりとした印象のワインが多く造られる。
グラーヴとは砂利を意味し、この地は名前の通り砂利の多い土壌で、造られるワインの8割が赤である。
ドルドーニュ川の川幅が広がっている左岸の畑は、水量が多いため夏の暑さと冬の寒さが和らげられる。ブドウ耕作面積は、赤と白を合わせておよそ700ヘクタール程である。
なお、同じボルドー地方にはAOCグラーヴというワイン産地もあるが、このグラーヴ地区はガロンヌ川の左岸にあり、ドルドーニュ川の左岸に位置するAOCグラーヴ・ド・ヴェイル地区とは距離的にかなり離れており、ワインの性質も異なるものである。
赤ワイン用ブドウの栽培品種はメルロー、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フランである。主体はメルローで、色調は鮮やかなルビー色、華やかな香りと優美な繊細さを持つ。長期熟成には向かず、寿命は短い赤ワインである。
白ワイン用ブドウの栽培品種はソーヴィニヨン・ブラン、セミヨン、ミュスカデルで、多くの白ワインはソーヴィニヨン種を70%、セミヨン種を20%程度、ミュスカデル種を10%程度の割合でブレンドされている。そのうち、ソーヴィニヨン・ブラン100%で造られるワインは、ソーヴィニヨン種の特徴がよく表われている爽やかなで新鮮、香り高い辛口である。セミヨン種100%で造られるワインは、バターの脂質のような舌触りでどっしりとした味わい、口に広がるまろやかさが特徴である。
AOCには指定されていないがセミヨン種100%の甘口ワインも造られている。赤ワイン用ブドウの栽培面積は500ヘクタール弱、白ワイン用ブドウの栽培面積は100ヘクタール弱で、このAOCの指定地域に含まれる村は、ヴェイル村とアルヴェイル村である。