ボルドー地方にあるワイン産地。アントル・ドゥー・メール地域の南部、ガロンヌ川の右岸に位置する。1973年にAOCプルミエール・コート・ド・ボルドーから独立したAOCで、甘口白ワインに認められる。
このAOCはボルドー市から東南30キロメートル、ガロンヌ川右岸の購買が厳しい丘陵地帯に位置する。AOC名の由来となっているカディヤック村を中心とする22ヶ村が指定地域に含まれ、広さはおよそ200ヘクタールである。このAOCの畑は地図上ではAOCプルミエール・コート・ド・ボルドーに重複する。歴史は古く、1280年に築かれた城塞都市で、現在も17世紀初頭に建てられたエペルノン侯爵の城塞が残されている。
土壌は粘土質と石灰質土壌、あるいは砂と砂利で、下層土壌は粘土質と石灰岩、あるいは石灰質土壌である。この地で造られる甘口白ワインは、繊細で優美かつフルーティで、芳香が豊かである。ガロンヌ川の沿岸のこの地区では独自のミクロクリマの影響を受ける。秋になると早朝は湿度が上昇し、日が昇るにつれて乾燥していき、この条件が貴腐菌を育てることでブドウが貴腐化され、貴腐ワインの原料となる。栽培品種はセミヨン種が70%を占める。セミヨン種は糖度が高く、厚い果皮は貴腐ブドウ化に適している。
他には20%がソーヴィニヨン・ブラン、10%がミュスカデルで、セミヨンにブレンドされる。
ガロンヌ川を挟んだ対岸に位置するバルザック・ソーテルヌ地区で造られる甘口白ワインと同様に、セミヨン種を主体とし、ソーヴィニヨン・ブランとミュスカデルをブレンドして造られており、長期熟成に向く。このAOCを名乗るためには、収穫時のブドウの糖度は潜在アルコール度数で15%以上、アルコール度数が13%以上必要とされ、甘口ワインのモワルーに分類される。ソーテルヌのものと比較すると甘さはやや控えめで、繊細な酸が持ち味である。アンズや柑橘などのフルーティな香りや、ハチミツやアカシアなどのフローラルな香り、ヴァニラの香りがあり、色調は黄金色で、長期熟成を経ることで琥珀色に移ろう。