ポイヤック

ポイヤックワインの特徴とは

   

ボルドー地方のAOCオー・メドックの中にある赤ワインの村名AOC。有名シャトーが点在し、格付けシャトーが18ある銘醸地。カベルネ・ソーヴィニヨンカベルネ・フランメルローを主体とする力強い赤ワインを産出する。

ポイヤックの気候・風土

メドック地方左岸に位置し、広さは約1200ha。ボルドー市から50km北に位置する村名に由来するAOCだ。

ポイヤックを名乗る赤ワインは、ポイヤック(Pauillac)村のぶどうの他、シサック村、サン・ジュリアン村、サン・テステーフ村、サン・ソヴール村のぶどうからつくられる。

ジロンド川に面し、優良な畑はジロンド川から西に2kmまでとされている。土壌は川によって運ばれ沈積した肥沃な沖積土で、砂利や砂が多いが水はけがよい。鉄分や泥灰土が多く、ぶどう栽培に最適な土地である。

Voyage de Presse #Pauillac #Bordeaux  - 179

ポイヤックの特徴

ポイヤックでAOC指定されるのは、赤ワインだけだ。この赤ワインはオー・メドックの中でも特に濃く、強めのタンニンとコクがある。ボディは堅牢で、長期熟成に向いている。

使われる主品種はカベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、メルロー、第二品種はカルメネール、コット(マルベック)、プチ・ヴェルドである。

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なお、樽内での第二次発酵を避けるために樽の中のワインに二化硫黄を添加するオランダ式の醸造方法を、フランスで最初に取り入れたとされる。

豊かでボリュームのある香り、黒すぐりや甘草、西洋杉のニュアンスが独特だ。

同地区はメドックの格付けで1級の5大シャトーのうち、シャトー・ラフィット、シャトー・ラトゥール、シャトー・ムートン・ロートシルトの3シャトーを有し、フランスワインの中でも秀逸した質の高いワインを産出する。

シャトー・ラフィットは18世紀にフランス宮廷でボルドーワインの真価を最初に認めさせたシャトーとして歴史的に名高い。1868年にパリ・ロスチャイルド家が巨額を投じてこのシャトーを取得した。優美で洗練され、かつ気品のある究極のワインとして世界に認められている。

シャトー・ラフィットが女性的だとすると、シャトー・ラトゥールは男性的ワインと言われ両者は比較して論じられることが多いが、いずれともポイヤックの典型であり、かつ極上のボルドーワインの典型とされる。

シャトー・ムートン・ロートシルトはロンドン・ロスチャイルド家から1922年にフィリップ男爵に引き継がれ、1973年に唯一の例外として2級から1級に昇格されたことで知られる。時代ごとに著名画家にラベル制作を依頼していることも有名である。ワインはポイヤックの真髄とも言われ、カベルネの比率が高く濃厚にして豪華、25年以上の熟成を経て真価が表われるとも言われる。

Ch?teau Mouton-Rothschild 1985, 1984

ボルドーの格付けシャトーにはセカンドラベルがあるが、シャトー・ラフィットはカリュアド・ド・ラフィット・ロートシルト、シャトー・ラトゥールはレ・フォール・ド・ラトゥール、シャトー・ムートン・ロートシルトはル・プティ・ムートンである。

2級格付けシャトーは、ピション・ロングウィル・コンテス・ド・ラランド、ピション・ロングウィル・バロン。4級の格付けシャトーはデュアール・ミロン・ロートシルト、5級は12シャトーある。それらの中でも世界的ワイン評論家ロバート・パーカーの評価で良質と評されているものには、グラン・ピュイ・ラコスト、クレール・ミロン、ランシュ・バージュなどがある。

Voyage de Presse #Pauillac #Bordeaux  - 144

エピソード

毎年4月にキリスト教の宗教行事「復活祭」が行われるが、ボルドー地方では復活祭にはポイヤック産の子羊(Agneau de Pauillac)を食べるのが習慣となっている。

もともとポイヤックのジロンド川沿いの湿地帯にぶどうを植えることができなかったことから、この地で牧羊が始まった。

ポイヤックの子羊は母乳だけで育てられ(アニョー・ド・レ=乳飲み子羊)、身が白く柔らかく乳の甘味と若干の塩気が感じられる。放牧地に行ったことのない子羊が理想とされ、今では生産量が少なくなり価格が高騰している。

シンプルなロースト、または赤ワインで煮込むことが多く、もちろんポイヤック産の赤ワインとの相性は絶妙だ。

Pauillac

一押しのワイナリー/当たり年

ポイヤック(Pauillac)の生産者のうち、格付けを得ている作り手として、シャトー・ラフィット・ロートシルト(Chateau Lafite Rothschild)、シャトー・ラトゥール(Chateau Latour)、シャトー・ムートン・ロートシルト(Chateau Mouton Rothschild)、シャトー・ピション・ロングヴィル・バロン(Chateau Pichon Longueville Baron)、シャトー・デュアール・ミロン・ロートシルト(Chateau Duhart Milon Rothschild)、シャトー・ポンテ・カネ(Chateau Pontet Canet)、シャトー・バタイエ(Chateau Batailley)、シャトー・オー・バタイエ(Chateau Haut Batailley)、シャトー・グラン・ピュイ・ラコスト(Chateau Grand Puy Lacoste)、シャトー・グラン・ピュイ・デュカス(Chateau Grand Puy Ducasse)、シャトー・ランシュ・バージュ(Chateau Lynch Bages)、シャトー・ランシュ・ムーサス(Chateau Lynch Moussas)、シャトー・ダルマイヤック(Chateau d’Armailhac)、シャトー・オー・バージュ・リベラル(Chateau Haut Bages Liberal)、シャトー・ペデスクロー(Chateau Pedesclaux)、シャトー・クレール・ミロン(Chateau Clerc Milon)、シャトー・クロワゼ・バージュ(Chateau Croizet Bages)が挙げられる。

ボルドー左岸のワインは、2010年、2009年、2006年、2005年、2003年、2000年、1998年、1996年、1995年、1990年、1989年、1988年、1986年の出来が良いと評価されている。3000円台から数万円までの幅広い価格で販売され、格付けシャトーのものは資産的価値が高い。

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