フランス東部ブルゴーニュ地方、コート・シャロネーズ地区にあるワイン産地。ラベルにはブルゴーニュ・コート・シャロネーズと表記され、コート・シャロネーズ地区全域に適用されるAOCだが、主としてブーズロンの西に位置するクーショワの5つの村のものである。赤と白両方に適用される。
ワインは若飲みタイプだが、骨格のしっかりした逞しさがある。赤とロゼはピノ・ノワールから造られ、白ワインはシャルドネから造られる。
赤は酸とタンニンがうまく調和され、洗練されたしなやかさを持っている。白は生き生きとした印象のなかに繊細さと上品さを兼ね備えた味わいである。いずれも品質の高さの割に値段が手ごろで人気が高い。
ピノ・ノワールから造られる赤ワインは、すっきりとした紫紅色や輝きのあるルビー色で、濃いガーネット色のこともある。イチゴなどの赤い果実やカシスやブルーベリーなどの黒い果実の香りを主とし、ときにチェリーのような香りやキノコや動物の香りが混ざる。若いうちは舌触りが硬めだが、酸とタンニンのバランスがよく、まろやかさも潜在しており尖った印象を和らげる。
シャルドネから造られる白ワインの色調はグレーを帯びた黄金色の透明な輝きがある。白い花やレモンの香り、ドライフルーツの香りがし、ハチミツなどの甘い香りが混ざることもある。生き生きとしたストレートな印象だが、そのなかに繊細さも備えている。
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ブドウ耕作面積は白が133ヘクタール程、赤とロゼが330ヘクタール程である。コート・シャロネーズ地区は、ドゥーヌ渓谷とグローヌ渓谷の間に南に向かって広がり、コート・ドール地区に比べると非常に穏やかな景観である。
コート・シャロネーズ地区の地区名は、ソーヌ川に面し、ワインの流通を支えてきた港町として栄えたシャロン・シュル・ソーヌ市からとったものである。この港町はローマ時代から北方と地中海を結ぶ交易の中心であった。かつてはワイン商の重要な活動拠点であったが、現在は大規模な産業都市となっている。