フランス東部ブルゴーニュ地方、コート・シャロネーズ地区北部にあるワイン産地。
メルキュレィ村は同地区の中心であり代表格で、最も広く知られている。赤と白の両方に適用される村名AOCは、1936年に認定された。
シャロネーズ地区では珍しくプルミエ・クリュ(1級畑)のある村としてジヴリ村とともに知られる。良質のものはコート・ド・ボーヌ地区などの特級品と同等レベルの品質を誇る。
プルミエ・クリュのクリマ(区画)は30あり、全体の耕作面積の4分の1に相当する。AOCメルキュレィとメルキュレィ・プルミエ・クリュはいずれとも、ラベルのAOC名にクリマ名を加えることが認められている。行政区画上はAOC名であるメルキュレィ村と、サン・マルタン・スー・モンテギュー村で名乗られているAOCである。
このAOCの赤ワインの色調は、深みのある濃いルビー色で、キイチゴ、イチゴ、チェリーなどの香りを彷彿とさせる。熟成を経ると森の下草、タバコ、カカオなどのアロマが現れる。フルボディでリッチかつフルーティな味わいである。逞しい骨格の熟成向きワインで、若いうちはタンニンが硬いミネラルを感じることもあるが、熟成によってまろやかで厚みのある味わいとなる。飲み頃は5~10年とされる。白ワインは辛口で、色調は緑を帯びた淡い金色である。シャルドネの特徴であるアカシアなどの白い花の香りの他、ヘーゼルナッツ、アーモンド、シナモンやコショウなどのスパイス香を感じる。また、ミネラル感がこのワインの特徴で、風味に溢れた味わいである。
生産量が多いことでも知られるが、生産比率は赤ワインが8割超で、ピノ・ノワールから造られる赤の評価がより高い。標高は230~320メートルで、ブドウ耕作面積は、赤が約567ヘクタール、白が79ヘクタール程である。それぞれのプルミエ・クリュは約153 ヘクタールと約14ヘクタールである。土壌は主に白い石灰質土壌か赤い粘土質土壌でブドウの成長に適している。