フランス東部ブルゴーニュ地方、ボージョレー地区の赤ワインの村名AOCであるクリュ・ボージョレーのひとつ。1936年にAOC認定を受けた。
“Vignoble de Ch?nas” by Mpmpmp – Own work. Licensed under CC BY-SA 3.0 via Wikimedia Commons.
ボージョレー地区はブルゴーニュ地方の最南に位置するが、そのなかで最良の10の地区に認められたクリュ・ボージョレーはボージョレー地区の北部に集中して位置している。このAOCはそのひとつで、地区の北部を東西に流れるモヴェーズ川に沿って広がっている。AOC名は村名でもあるが、シェナ(Chenas)はフランス語で樫の木を意味するシェーヌ(Chenes)に由来し、昔この地が広大な樫の森で覆われていたという伝説をもとにつけられている。
ボージョレー地区のなかで一番小さな産地であるが、現在はAOCムーラン・ナ・ヴァンとして売られているブドウ畑の多くが、かつてはこのAOCに含まれていた。現在では、シェナ村とシャペル・ド・ガンシェ村に跨った畑でこのAOCは生産されており、ブドウ耕作面積は約255ヘクタールである。畑の標高は250~400メートルで、土壌は花崗岩質である。
“Pieds de vignes ? Ch?nas” by Mpmpmp – Own work. Licensed under CC BY-SA 3.0 via Wikimedia Commons.
ボージョレー・ワインはガメ種100%で造られることで知られ、このAOCも同様である。AOCシェナのワインは野バラの香りと評されることが多く、色調はルビー色、厳格でやや硬い印象もあるが、コクがあって逞しい。良年のヴィンテージであれば長期熟成に耐え、最低5年、最長で15年程度の熟成が適したものとなる。
“Bouteille de Ch?nas” by Mpmpmp – Own work. Licensed under CC BY-SA 3.0 via Wikimedia Commons.
西の斜面から生まれるワインは、南西に隣接するAOCムーラン・ナ・ヴァンやAOCジュリエナに似て長期熟成タイプである。東側のソーヌ川に向かう傾斜地のものは柔らかく若飲みタイプである。このAOC内の3つのクリマ(区画)がラベルにその名を記すことが認められている。