フランス東部ブルゴーニュ地方、マコネ地区南部にあるワイン産地。プイィ・フュィッセやプイィ・ロシェとともにマコネ地区で最も評価の高い白の村名AOCである。1940年にAOC認定された。
プイィ・ヴァンセル村とロシェ村にまたがる畑で造られるこのAOCのワインは、シャルドネ100% で造られる。
力強さとミネラル感のある辛口の白ワインで、シャルドネの特徴を表している。ハチミツの香りやアカシアなどの花の香りは控えめで、デリケートな気品にあふれている。色調は輝きのある淡い黄金色で、熟成によって濃い黄金色となる。香りは多様でハチミツやアカシアの他、白桃、アンズ、グレープフルーツなどの柑橘類などのアロマに加え、熟成を経ることでアーモンドやヘーゼルナッツの香ばしさ、カリン、焼きたてのパンのような香りが現れる。口当たりは豊満で、自然かつ力強いミネラル感とオイリーさのバランスが良く、この豊満さがオーク樽での熟成を可能にしている。
このAOCのあるマコネ地区南部はボージョレー地区と接しており、奇岩で有名なソリュトレの岩山周辺に独立した4つの村名AOCがあり、プイィ・ヴァンセルはそのひとつである。ソリュトレの岩山は切り立った断崖からなり、約25,000年前の人類が食べたと思われる動物の骨や、後期旧石器時代の住居跡の遺跡などが発見されている。このAOCの畑は標高200~250メートルで、土壌の多くは鉄分を含んだ粘土石灰質である。