ヴァン・ド・コルスの気候・風土
ヴァン・ド・コルスは、フランスの南方、イタリア半島の西にあるコルシカ島(フランス語読み:コルス島)で生産されるワイン。コルシカ島は標高が高く「海の中の山」と称され、海流の影響から涼しく、ぶどう栽培には最適な気候だ。それほど手入れしなくとも、自然とぶどうが実ってくれる。
コルシカ島のワイン産地は、島全域の沿岸部に広く存在しているが、「ヴァン・ド・コルス」を名乗れるのは、オート・コルス県の63村とコルス・デュ・ズュド県の119村で生産されるもののみ。その中でもコトー・デュ・カップ・コルス(Couteaux du cap corse)、カルヴィ(Calvi)、フィガリ(Figari )、ポルト・ヴェッキオ(Port Vecchio)、サルテーヌ(Sartene)の5村でつくられるワインに対する評価が高く、「ヴァン・ド・コルス」の後に各村の名前を加えて「ヴァン・ド・コルス・コトー・デュ・カップ・コルス」といった名称でワインを流通させることが認められている。
コルシカ島は歴史・文化の面で、フランス本土とは違った一面を持つ。ヴァン・ド・コルスに使用するぶどう品種も、本土ではほとんどつくられていないコルシカ島独自の品種を用いて醸造。赤ワインをメインに、白ワインやロゼワインも生産されている。
ヴァン・ド・コルスのワインの特徴
ヴァン・ド・コルスのワインは、基本的にイタリア系のぶどう品種とフランス系のぶどう品種の混合で製造され、産地によって用いるぶどう品種や比率が変化する。そのため、生産している村やつくり手によって味わいに大きな違いが生まれることが特徴となっている。
ワインに使うぶどうの主な品種として、赤はニエルキオ、スキアカレロ、グルナッシュ、サンソー、ムールヴェードル、シラー、白とロゼはヴェルマンティノ、ユニ・ブラン、グルナシュ・ブランといった品種が挙げられる。
“AOC vin de Corse ros? et blanc” by JPS68 – Own work. Licensed under CC BY-SA 4.0 via Wikimedia Commons.
ヴァン・ド・コルスは比較的広い地域でつくられているため、前述したとおり、産地やつくり手によってワインの風味・味わいに違いが生じる。ただ一般的には、赤は赤紫の濃いルビー色に熟した果実、さくらんぼ、イチゴ、コショウ、タバコ等の強い香りを持つ。非常にボディーのあるワインで、飲みごろは5~6年となっている。一方、白とロゼはフレッシュな果実味があり、飲み終えた後も口内に花や柑橘系の香りが残り、余韻を楽しめるややコクのある辛口だ。
エピソード
ヴァン・ド・コルスがつくられるコルシカ島のワインづくりの歴史は古く、紀元前に古代ギリシャ人がブドウの樹を植えたところから始まったとみられる。その後、1976年にコルシカ島では初めて、ヴァン・ド・コルスがAOCに指定された。
ヴァン・ド・コルスの代表的なワイン
ヴァン・ド・コルス リゼルヴ・デュ・プレジダン
ヴァン・ド・コルス・ロゼ
ヴァン・ド・コルス・ブラン
ヴァン ド コルス ポルト ヴェッキオ ドメーヌ ド トラッチア
ヴァン・ド・コルス・ルージュ
ヴァン・ド・コルス・フィガリ