コトー・デクス・アン・プロヴァンスの気候・風土
コトー・デクス・アン・プロヴァンスは、フランス南東部のプロヴァンス地方に位置する。
プロヴァンス地方の西部に広がるコトー・デクス・アン・プロヴァンスは、デュランス川からマルセイユ近郊におよぶ広大なA.O.C.となっている。ぶどう栽培面積はおよそ3000haだ。
プロヴァンス地方特有の四季を味わえる地域で、春はアーモンドの花が咲き、夏は蝉の声が響き、秋と冬はフランス南東部特有の冷たく乾燥した北風「ミストラル」が吹く。
気候は、日照時間が多い地中海性気候。土壌は、石灰質、砂質、小石を含む泥土の3種類に分けられる。
コトー・デクス・アン・プロヴァンスのワインの特徴
コトー・デクス・アン・プロヴァンスでは、プロヴァンス地方の他のA.O.C.と同様に、主にロゼワインがつくられていて、生産量のおよそ80%を占めている。また、同地方の他のA.O.C.と比べると赤ワインの割合がやや多くなっている。
同A.O.C.では、セニエ法でロゼワインをつくっている。セニエ法とは、黒ぶどうを使用し、皮や種も一緒に発酵させ、自然に出てきた果汁が色づいたら、果汁だけを引き抜くという方法。この方法でつくられたロゼワインは、色が鮮やかになる。
ロゼワインは、主にグルナッシュ種や、カベルネ・ソーヴィニヨン種、カリニャン種、シラー種を使用してつくられる。香り豊かで、フレッシュな味わいを持つ。
赤ワインもロゼワインと同様のぶどう種が使用されている。渋味を酸味のバランスが良く、果実味が豊か。
白ワインはわずかしかつくられていない。香り豊かな若飲みタイプとなっている。
エピソード
コトー・デクス・アン・プロヴァンスは、1985年にA.O.C.に認定された。しかし、プロヴァンス地方の東側半分の地域は、西側よりもぶどう栽培に適した気候や土壌が備わっていたため、10年以上早い1974年にコート・ド・プロヴァンスとしてA.O.C.に認定されている。当時、コトー・デクス・アン・プロヴァンスがある西側半分はV.D.Q.S.にしか認定されなかった。
その後、ぶどう栽培に適した良質の土壌に恵まれていないものの、テロワールをうまく活用して土地特有のワインをつくるドメーヌが現れ、1985年にA.O.C.に昇格した。
コトー・デクス・アン・プロヴァンスの代表的なワイン
ブリヤーヌ コトー・デクス・アン・プロヴァンス/ドメーヌ・ド・ラ・ブリヤーヌ
シャトー・ド・ヴォクレール/シャトー・ド・ヴォクレール
ベ・ドゥ・ボープレ・ルージュ/シャトー・ド・ボープレ
コトー・デクス・アン・プロヴァンス・ロール・シラー/ピーター・フィッシャー(CLAC)