ラングドック(コトー・ド・ランクドック)の気候・風土
ラングドック(Languedoc)は「オックの言葉」という意味の「Langue d’Oc」が由来。フランス語といえば「はい」や「Yes」の意味で「ウイ(oui)」という言葉をよく使うが、中世の南フランスでは「ウイ」を「オック」と言っていた。そのエピソードから分かるように、ラングドックとは「オック」と口にしていた名残で付いた名称で、主にフランス南部のラングドック=ルシヨン地域圏で生産されるワインを指す。
このエリアは5つの県で成り立っている。ただし山岳地帯のロゼール県ではワインの生産はされていない。また、ガール県(タヴェルやリラック)東側の半分はローヌワインに分類され、ラングドックには入らない。
地中海気候のお手本とも呼べる地域で、夏は乾燥して暑く、冬は温暖で湿気が多い。ぶどうの栽培に適している気候のため、シラー、ムールヴェードル、カリニャンをはじめとした非常にたくさんの品種が栽培されているのが特徴。グルナッシュは一般的に病気に弱い品種ではあるが、ラングドックの気候と相性が良く、特に栽培に適している。
ラングドック(コトー・ド・ランクドック)のワインの特徴
比較的お手頃価格が多いながらも、安ワインにありがちな酸味や独特の固さはまったくない。誰にでも愛される柔らかくまろやかなテイストで、カシスなどのさわやかで瑞々しいアロマを楽しめると高評価。ふっくらとした果実感を存分に感じられ、心地よく飲めると国や性別を問わず広く愛されている。
エピソード
ぶどう栽培に適した気候のため、年間4億ケース近い膨大なワインを産出。AOCワイン生産では国内第3位とされている(1位はボルドー、2位はローヌ)。フランス国内のぶどう栽培面積の38%をラングドックが占めているというのだから驚きだ。
ぶどうが豊富にあり、そしてワインづくりが極めて盛んなことから、1970年代まではいわゆる安ワインの産地として知られていた。それまではAOCワインよりも格下のVDQSワイン(ぶどうの収穫量、ワインのアルコール度数などの規制が少し緩め)を大量に生産し、「質よりもとにかく量を……」という方針を採っていたのだ。
しかし、近年では高い志を抱いた醸造家が次々と登場。新しい技法を使い、これまでにない質の高いワインを生み出し、中にはブルゴーニュ並みの高級品の姿も。フランス全土のワイン愛好家たちから最も注目を集めているエリアでもある。
ラングドック(コトー・ド・ランクドック)の代表的なワイン
ジェラール・ベルトラン ラングドック・ルーション/ドメーヌ・ド・ヴィルマジュー・コルビエール・ルージュ
マス・ジュリアン/コトー・デュ・ラングドック
ケーヴ・ラングドック・ルーション/パスレル シャルドネ
オルマリン/ピクプール・ド・ピネコトー・デュ・ラングドック