ペイ・ナンテその他

ミュスカデ・ド・セーヴル・エ・メーヌワインの特徴とは

   

ミュスカデ・ド・セーヴル・エ・メーヌは、ロワール河口域のナント周辺地区のAOC。ムロン・ド・ブルゴーニュ種の単一品種で造られる辛口白ワインのミュスカデの生産地区である。

ミュスカデの名の付く4つのAOCの中で最も広く217ヘクタールを占め、生産量はミュスカデの80%を占める。1936年にAOCに認定された。

ロワール河の南岸、ナント市の南東に位置する。AOC名はロワール河の支流であるセーヴル河とメーヌ河を跨ぐ地区であることに由来し、周辺の23の村で造られるワインにこのAOCが認められている。他にミュスカデの名の付くAOCは、AOCミュスカデ、AOCミュスカデ・デ・コート・ド・ラ・ロワール、AOCミュスカデ・デ・コート・ド・グランリューである。

このAOCの栽培量は年々増加しており、ロワール地域のいずれのAOCと比較してもその傾向は最も顕著である。土壌は花崗岩や片岩の丘陵地から粘土質まで様々だが、ムロン・ド・ブルゴーニュ種に適した石灰質を多く含むことから秀逸なミュスカデワインが生産される。このAOCで造られるミュスカデは、概して熟成に耐えるものが多いとされ、4つあるミュスカデのAOCの中で最も優れたミュスカデが生産されると言われている。

ミュスカデは薄い麦わら色でやや緑がかった色調で、マスカットに似たフローラルでフルーティな香りと、時としてミネラル香もある。強めの酸味があるのも特徴で、魚介類や和食と合わせられることが多い。ミュスカデの特徴を活かす製法としてシュール・リー製法が有名であるが、AOCミュスカデ・ド・セーヴル・エ・メーヌの45%はシュール・リー製法で醸造されている。

シュール・リー製法で造られるスタイルのワインはより重厚でブルゴーニュの白ワインのような舌触りと微発泡があり、とくに良質のものは、フルーティな芳香と酸味と舌触りのバランスが絶妙である。シュール・リー製法とは、発酵の途中で発生する澱を取り除かずに樽やタンクで寝かせる醸造法で、冬の間そうして寝かせた後に翌春に澱引きして瓶詰めさせる。
こうすることでフレッシュさと厚みを生み、香り高くキリリとしたフルーティな微発泡性のワインが造られる。この製法で醸造されたワインには、AOCの産地名とともにシュール・リーと表記することが義務付けられている。

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