岩手県中部の岩手郡葛巻町にはくずまきワイン(葛巻高原食品加工株式会社)がある。
岩手のワイナリーの中でも最北端であり、北上山中の県立平庭自然公園内にワイナリーを構えている。
もともと葛巻町は生食用のブドウ産地ではなかったが、山葡萄が葛巻町の山中に自生しているためこれを生かして地域振興を図ろうと1986年に第3セクターワイナリーとして設立された。
現在のラインナップの中でも、くずまきワインの個性をよくあらわしているのは山葡萄や山葡萄を交配してつくった品種からなるワインで、標高400mの自社畑では山葡萄を栽培している。山葡萄の交配品種では「小公子」「ブラックベガール」「ホワイトぺガール」などがある。
山葡萄の特徴は小さな果実、濃い赤紫色、強い酸味である。濃い赤紫色はアントシアニンを豊富に含み、酸味はリンゴ酸やクエン酸によるものである。
山葡萄は日本古来種で、昔から滋養強壮、貧血に良いと言われ自家製のジュースが飲まれていた。山葡萄から造られるワインは酸味と渋みの調和がとれた落ち着いた味で、他のワインとは一味違った味わいがある。
さらに現在注目されているのはスパークリングワインである。山葡萄交配種ワイングランドを使ったロゼのスパークリングワイン「ヴィレ」は、シャンパーニュと同じ瓶内二次発酵をし、8年の長期熟成されたものである。日本ワインのガイドブック「日本ワインガイド」の中で「カシスのような果実の風味とクリーミーな口当たりがなんとも言えず魅力的だ。日本中どこを探しても、こんなスパークリングは他に無い。」と評された。