ヴィオニエ

ヴィオニエとは――味の特徴、おすすめワイン、主な産地をチェック

   

ヴィオニエの意味/品種

ヴィオニエ(Viognier)は、フランスで最も古い白ワイン用ぶどう品種の1つだ。

特有のしっかりとした芳香があり、果実の華やかなアロマと、比較的穏やかな味が効いたやや辛口な味わいが特徴的。実はシャルドネに引けを取らないような、フルボディで優良なものが多いが、生産者や栽培地域によって異なる特徴がある。

First of the summer wine

ヴィオニエの味わい/香り

フランス南東部に位置するローヌ地方北部のヴィオニエは、豊かでありながらデリケートな香りで名高い。モモやナシ、スミレを感じる自然な芳香が特徴だが、この繊細な香りは樽発酵の段階で酸素にさらされすぎると失われてしまう。ヴィオニエでワインをつくるには、高度な技術が必要なのだ。

また、栽培には温暖でありつつ暑すぎない気候が最適とされ、その環境下で濃い黄色に完熟した良質なぶどうが理想的な糖度になるとされる。その糖度をもってしないと特有の上質な香りや上品な酸味が出ず、オイリーで香りに欠けた味わいとなってしまう。

華やかで独特なアロマが特徴のヴィオニエは、エスニック料理やピリッと辛い中華料理、スパイスが効いたタイカレー、ブルーチーズと相性が良い。また、肉料理と魚料理のどちらともよく合う。濃厚な味わいの料理と相性が良く、少しクセのある食材とも合わせることができる。

Viognier

ヴィオニエの特徴

病気にかかりやすいため、一般的には栽培が難しい品種と見なされているヴィオニエ。収穫量に対するワイン生産量も高くないため、実利的な大量生産にはあまり適さない。

1960年代にはフィロキセラによる被害で栽培が減り、ローヌ地方の北部にある14haほどの畑でしか生産されておらず、存亡の危機にあった。しかしその後、人口増加とともにワイン価格が上昇したことにより、現在ではローヌ地方北部のコンドリュー地区やその中に含まれるシャトー・グリエといった300ha程の土地で産出されるようになった。

ヴィオニエは植樹後15~20年しないと良い果実が実らないとされているが、ローヌ地方においては最低でも70年以上の栽培の歴史がある。

Viognier

ヴィオニエの主な産地

ヴィオニエは、ローヌ地方北部のコンドリュー地区やその中にあるシャトー・グリエなどで主に生産されている。

傾斜の急な斜面に植えられたヴィオニエからは、アロマが豊かで豊満なワインが仕上がる。この地区はヴィオニエ単一の白ワインを数多く手がけるが、コート・ロティは北部地区で唯一、シラーにヴィオニエを20%までブレンドすることが許されている。シラーが色の濃さやタンニンの豊かさを、ヴィオニエが繊細さや豊かなアロマをもたらすことで、長期熟成に適した上質なワインが仕上がるのだ。またブレンドという点で言えば、ローヌ地方南部やその他の地域でも、主に香り付けのためのブレンド用品種としてヴィオニエを用いている。

1990年代以降は栽培エリアが世界に広がり、現在はアメリカ西海岸のカリフォルニアやワシントン、オーストラリアも世界的な産地となっている。こちらでも、シラー(シラーズ)とブレンドして香り高い赤ワインを生産している。

また、南アフリカニュージーランド、ギリシャ、イスラエル、フランス国内のラングドック地域なども栽培地だ。日本では山梨などで栽培され、甲州アッサンブラージュしたワインも生産されている。

ヴィオニエを使ったおすすめワイン

タルデュー・ローラン コンドリュー/フランス・ローヌ

ヴィオニエの代表産地コンドリューのヴィオニエのみを使用した逸品。コンドリュー産ならではのミネラル、繊細な酸味と有核類や柑橘類のアロマがバランス良く引き出されている。上品な舌触りと豊潤さが魅力的で、長期熟成にもおすすめのワインだ。

E.ギガル コート・デュ・ローヌ・ブラン/フランス・ローヌ

ローヌ地方を代表する生産者E.ギガルのワイン。ヴィオニエを55%使用しており、白い花やアプリコット、白桃、アカシアなど、ヴィオニエの特徴がはっきりと出たアロマを感じることができる。フルーティでボリューム感のある味わいを、手頃な価格で楽しめるのもうれしいポイント。

コノスル ヴィオニエ ビシクレタ レゼルバ/チリ・セントラル・バレー

リーズナブルな価格ながら高品質な、自転車のラベルで親しまれているコノスルワイン。こちらはヴィオニエ100%の白ワインだ。鮮烈なアプリコット、白桃、クチナシの香りに、ボリューム感とマイルドな味わいを楽しめる。

ラガスカ ヴィオニエ/スペイン・ラマンチャ

最近では、健康志向の高まりもありナチュラル(自然派)ワインが人気を集めている。そこでリーズナブルで家飲みにも最適なヴィオニエ100%のワインがこちらだ。

自社畑のぶどうのみを使い、完全有機栽培となる自然派ワインづくりに情熱を燃やすラガスカの1本。キンモクセイ、ライム、若草やハーブのようなアロマと、果実のうま味がたっぷり含まれた飲みやすいワインだ。

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