フランスの南部、地中海に浮かぶコルス島は、紀元前よりギリシャ人によるぶどう栽培が行われていた。

コルス島は温暖な地中海性気候であり、赤ワインの生産量が多く、アジャクシオ、ヴァン・ド・コルス、パトリモニオといったAOCが有名だ。

コルス島でつくられる赤ワインには、シャッカレロ種やニエルキオ種、白はヴェルマンティーノ種といった島独自のぶどうが多く使用され、温暖な気候を生かしたボリューム感のある若飲みワインがメインに造られている。

【コルス島の主なAOC】

<ヴァン・ド・コルス>
コルス島のワイン産地は沿岸部に広く存在するが、ヴァン・ド・コルスを名乗れるのはオート・コルス県63村とコルス・デュ・ズュド県119村で生産されるワインのみ。イタリア系のぶどう品種とフランス系のぶどう品種の混合で製造され、生産者によって味わいにバラエティ豊かな幅がある。

<ヴァン・ド・コルス・コトー・デュ・カップ・コルス>
レグリアーノ州にあるコルス島最北端の生産地。マルヴォワジー種とコディヴァルタ種を使用した複雑味のある辛口白ワインや、長期熟成に適した赤ワイン、ラピュスと呼ばれる甘口ワインなどいろいろなワインが造られている。

<パトリモニオ>
最北端カップ・コルス岬の南部に位置し、島内で最初にAOCに認可された。赤ワインはそのほとんどがニエルキオ種をメインに構成され、白ワインはヴェルマンティーノ単一品種からなる。生産量の約半分が赤、3割をロゼが占めている。

<ヴァン・ド・コルス・ポルト・ヴェッキオ>
コルス島南東に位置する港町。生産量の40%をロゼワインが占める。地ぶどうをいくつかブレンドして作るロゼワインは、スパイシーさとワイルドさが特徴だ。

<ヴァン・ド・コルス・フィガリ>
コルス島南端の景勝地ボニファシオの少し北に位置し、水はけと風通しの良い花崗岩質が多い。ぶどうのフルーティーで繊細な味を生かし、濃すぎず滑らかで飲みやすいワインが特徴。赤ワインにはニエルキオ種、グルナッシュ種などの他、この地区独自のカルカヨール種も使われる。

<アジャクシオ>
パトリモニオとともにコルス島の代表的なAOCの1つ。ポルト湾からサルトネー村の36村にまたがる産地には、小さなぶどう畑が点在する。生産ワインの大部分はシャッカレロ種を40%以上使用した、長期熟成に適した赤ワインだ。

<ヴァン・ド・コルス・カルヴィ>
コルス島北西部のバラーニュ地方に位置し、観光都市としても人気がある。一年を通して雨が少なく温暖な気候だ。シャッカレロ種やシラー種、グルナッシュ種などの黒ぶどうの生産がメインで、強めのアタックと繊細さを併せ持つ味わいが特徴の赤ワインが多い。