カンパーニャ州は、西にティレニア海を抱く美しい地域だ。州都ナポリはイタリア第3の都市として栄え、景観の美しさでも知られる。
ナポリの東には巨大なヴェスヴィオ火山がそびえており、1日にして火山灰に沈んだ町・ポンペイの逸話とともに広く知られる。

ワインの生産地はナポリやヴェスヴィオ火山の周辺に多い。内陸部にも、フィアーノ・ディ・アヴェッリーノや、グレコ・ディ・トゥーフォといった優れたワインを産み出す地域がある。ヴェスヴィオ火山の溶岩による、火山性土壌の地域が多い。

つくられるワインは、アリアニコ種による赤、グレコ種による白がメイン。
いずれのワインも、火山性土壌によるミネラルを豊富に含む。なかでも、タウラージの赤は南イタリアのみならず、イタリアを代表するワインとして名高い。

【カンパーニャ地区の生産地区分】

<タウラージ>
州都ナポリ東、アヴェリーノ地方北東部の丘陵地帯。アリアニコ種を主原料とした赤は「南イタリアで最も力強いワイン」と称される。
2010年、アメリカのワイン専門誌「ワイン・エンスージアスト」が発表した「イタリアを代表する10本のワイン」に選出された。

<フィアーノ・ディ・アヴェッリーノ>
州東部のアヴェッリーノ県のワイン。南イタリアで古くから栽培されるフィアーノ種を原料とした辛口の白。原産地呼称に用いられるアピアニスとは、ラテン語で「ミツバチに愛された」という意味。

<グレコ・ディ・トゥーフォ>
アヴェリーノ県北の丘陵地帯。トゥーフォとは、この地に広がる火山性凝灰岩土壌のこと。
グレコ種を材料とした辛口の白。ワインづくりにおいて古くからの歴史を持つ。

<アリアニコ・デル・タブルノ>
州北部、ベネヴェント県にある山岳地域タブルノ近辺。アリアニコ種による赤とロゼは長期熟成に向く。

<カゼルタ(ファレルノ・デル・マッシコ)>
ナポリの北、カゼルタ地方を中心とする。土壌は火山性の砂質。グレコ種による白、アリアニコ種による赤。かつてヨーロッパ全土を襲った害虫フィロキセラにより甚大な被害を受けたが、地元生産者の尽力により立ち直った。

<ヴェスヴィオ>
ヴェスヴィオ火山近くの産地。カンパーニャ州の固有品種コーダ・ディ・ヴォルペによる白や、ピエディ・ロッソ種による赤がつくられる。「キリストの涙」という意味の「ラクリマ・クリスティ・デル・ヴェスヴィオ」が有名。