イタリアは、フランス・ドイツとともにヨーロッパの重要なワイン産地である。長靴型の細長い国土にはあちこちに、それぞれの土地でしか収穫されないぶどうなどを使ったワインが星の数ほど存在し、魅力的なイタリアの食文化をさらに味わい深いものに演出していると言える。

中でもラツィオ州は古代ローマ帝国の中心地だったこともあり、ローマ文化のお膝元。現在でもイタリアの首都ローマを抱え、名実ともにこの国の中心地だ。山脈の多いイタリアにあって比較的山岳地帯の少ない州で、国土の半分を占める丘陵地帯では農業や酪農業が営まれている。ワインに関しては、チェサネーゼ・デル・ピーリオ、フラスカーティといった産地がある。

ぶどう畑も丘陵地帯の斜面に広がり、ワイン生産量も少ないわけではない。白ワインの生産量が多く、トレッビアーノやマルヴァジアを使用しており、辛口のものから甘口のものまで幅広く作られる。赤ワインはチェザネーゼ・デル・ピーリオのものが有名だ。

【ラツィオ地方の主な生産地】

<チェサネーゼ・デル・ピーリオ>
ローマの東部に位置する産地。ラツィオ州のDOCだ。土壌はさまざまで、地ぶどうのチェサネーゼ・ダッフィーレ、チェザネーゼ・コムーネを利用して赤ワインが作られている。辛口のセッコが中心だが、中甘口、甘口、発泡ワインと幅広いワイン生産がされており、セッコは繊細でありながら奥行きのある味わいで評判が高い。

<フラスカーティ>
ローマ県にあるDOCで、マルヴァジア・ビアンカなどを主体とした白ワインの生産がされている。早飲みワインがほとんどだが、一部、コクのあるしっかりとしたワインも作られている。辛口から甘口までバラエティが豊かで、また発泡ワインも生産されている。このフラスカーティで作られるDOCG「カンネッリーノ・フラスカーティ」は、白ワインにモスト・コンチェンラートを添加して作る甘口白ワインのことだ。