ワイン界において注目を集めるようになっているチリ。アンデス山脈と太平洋、両方の影響を受けて、昼間の日照量と夜間の冷涼な海風が特徴だ。

この気候がぶどうの果実味を熟成させて、凝縮感を出している。またチリはフィロキセラとは無縁で、多くのヨーロッパの醸造家が理想のぶどうを栽培しようとこの地にやってきた。

アコンカグア地方とは、チリの中央部、バルパライソ州に属するサン・フェリペ・デ・アコンカグア県周辺のことを指す。アンデス山脈最高峰であるアコンカグア山の麓にぶどう畑が広がっている。

晴天が多い半砂漠地帯のため、点滴灌漑が多く使われている。太平洋から流れ込む冷涼な風により、昼間も気温があまり上がらない涼しい場所がある。

アコンカグア地方では、この冷涼な風とその影響による濃霧のために、ブルゴーニュのような端正なワインが期待できる。このところ勢いのあるカサブランカ・バレーは、シャルドネやソーヴィニヨン・ブランの出来が良く、多くの生産者がこの地の白ぶどうを使っている。

【アコンカグア地方の主なDO】

<アコンカグア・バレー>
アコンカグア・バレーはアコンカグア川の流域に広がる地域を指し、この地は年間240~300日の晴天に恵まれる。
雨がほとんど降らず、点滴灌漑が広く採用されている。カベルネ・ソーヴィニヨンやシラーの赤ワインが多く、果実味が豊かで深い味わいだ。また、太平洋沿岸では冷涼な気候を利用して、シャルドネなどの白ぶどうが栽培される。

<カサブランカ・バレー>
カサブランカ・バレーは良質の白ワイン産地として知名度が上がっている。シャルドネやソーヴィニヨン・ブランがフレッシュかつ奥行きのあるワインへと変貌を遂げる。
また、ピノ・ノワールの評判も良く、フランスやカリフォルニアの名門が現地のワイナリーと組み、上質なワインを醸造している。

<サンアントニオ・バレー、レイダ・バレー>
サンアントニオ・バレーはチリ南部のマジェコ・バレーに次ぐ小ささの産地だ。カサブランカ・バレーなどと同様に、太平洋から冷たい風が吹き、霧も多く発生する。
シャルドネやソーヴィニヨン・ブラン、ピノ・ノワールの栽培が多く、その出来栄えは繊細かつ広がりのある良質のものだ。