スペインはヨーロッパ第3位のワイン大国であり、生産量はフランス、イタリアに次ぐ。一般的にはテンプラニーリョを使用した赤ワイン、ヴェルデホやアイレンを使用した白ワインが有名だが、他にもモナストレルやメンシア、固有品種などを使った個性豊かなワインが多い。

そんなスペインの北西端に位置するガリシア地方でも、ワインがつくられている。州都は巡礼の道で知られるサンティアゴ・デ・コンポステーラだ。大西洋に影響を受ける産地が多いが、一方で山あいの畑も多い。リアスバイシャス、モンテレイ、バルデオラスなどの産地がある。

このガリシア地方では、他のフランスの地方とは違い、白ワインが多く作られる。メインに使われるぶどうはゴデーリョなどであり、酸味と華やかさを併せ持つ力強い味わいだ。生産量は多くはないが赤ワインはメンシア種を使ったものが目立ち、骨格と繊細さとのバランス良好なものが多い。

【ガリシアの主な生産地】

<モンテレイ>
モンテレイはガリシア地方の東南部にあり、南はポルトガルと接する。夏は暖かく乾燥するが、冬の冷え込みは厳しい。
白ワインを主に生産しており、使われるぶどうはゴデーリョ、トレイシャドゥーラ、ドーニャ・ブランカなどだ。赤ワインはメンシアとメンサレオをブレンドして醸造する。

<バルデオラス>
バルデオラスはガリシア地方東端の内陸部に位置し、山脈に囲まれた渓谷だ。夏冬の気温差は激しく、ぶどうとオリーブが多く栽培される。
白ワインが有名で、ゴデーリョを使用している。香り高く力強い味わいで、スペイン有数の高級白ワインだ。赤ワインはメンシアを使ったものが多い。

<リアスバイシャス>
リアスバイシャスは大西洋沿いのエリア。日差しは強いがそこまで夏場の気温はそこまで上がらず、降雨量は多い。また、リアス式海岸のおかげで霧が発生しやすい。
アルバリーニョが全体のぶどう生産量の9割を占め、同種から作られる白ワインは高級ワインとして非常に有名だ。

<リベイロ>
リベイロはガリシア州内陸地に位置する生産地。海洋性気候の影響も受けるが、内陸に入るため比較的暖かい。日照量も十分にある場所だ。
白ぶどうのトレイシャドゥーラやパロミノ、黒ぶどうのカイリョなどが栽培され、生産量の8割は白ワイン。手頃な価格で品質の良いワインを生産している。

<リベイラサクラ>
リベイラサクラはガリシア州の内陸地に位置する。ぶどう畑は急斜面に展開し、機械が使えない場所も多く、手作業で栽培が行われている。
リベイラサクラではメンシアを使用した、しっかりとした赤ワインが醸造されている。フルーティーさとともに繊細さを楽しめる良質なワインだ。その他に、フレッシュな白ワインなども醸造されている。