クレマン・ダルザスの気候・風土
フランス北東部にあるアルザス地方。ドイツとの国境沿いに広がるこの地方もワインの名産地の1つ。ここで製造されるワインのうち、条件を満たすものはAOC「アルザス」の名を、その中でも特に優れたワインはAOC「アルザス・グラン・クリュ」の名を名乗ることができる。
そんなアルザス地方でつくられるワインのうち、シャンパーニュ方式の瓶内二次発酵を利用して完成に至るスパークリングワインが名乗ることを認められたAOCが「クレマン・ダルザス(Cremant d’Alsace)」。「アルザス地方でつくられるクレマン(スパークリングワインの1種)」という意味があり、アルザス地方で生産されるワインの2割ほどを占める。フランス国内の家庭で最も多く愛飲されているスパークリングワインだ。
アルザス地方では標高の高いところにぶどう畑が広がり、昼夜の温度差が大きい。また周囲を高い山脈に囲まれているため、雨雲が訪れることが少なく、降雨量は少なめ。乾燥した気候で太陽の日差しにも恵まれているため、ぶどうがよく育つ。
クレマン・ダルザスのワインの特徴
クレマン・ダルザスのスパークリングワインは、主にピノ・ブランからつくられ、他にもピノ・グリ、ピノ・ノワール、リースリング、シャルドネなども利用されている。
ぶどう収穫期の最も早い段階で摘んだぶどうを使ってつくることから、爽やかな香りをしっかりと堪能できる。
凝縮された果実味、広がるアロマ、柔らかで繊細な味わいがクレマン・ダルザスの特徴。辛口が主流だが、丸みのあるテイストなのであっさりと楽しめる。
シャンパーニュでつくられるスパークリングワインと比較されることが多いクレマン・ダルザス。具体的な違いは、クレマン・ダルザスの方がアルコール度数をやや低く設定しているところ。角がなくまろやかな口当たりで飲みやすく、泡が少ないことも挙げられる。
一押しのワイナリー/当たり年
クレマン・ダルザス(Cremant d’Alsace)の生産者のうち、各方面にて高い評価を得ている作り手として、ドメーヌ・クレマン・クリュール(Domaine Clement Klur)、ドメーヌ・メイエ・フォンネ(Domaine Meyer-Fonne)、ピエール・スパー(Pierre Sparr)、アルベール・マン(Albert Mann)、ドップ・エ・イリオン(Dopff & Irion)、ジュリアン・メイエー(Julien Meyer)、ローラン・シュミット(Roland Schmitt)などが挙げられる。
アルザスのワインは、2008年、2007年、2001年、2000年、1998年、1994年、1990年の出来が良いと評価される。クレマン・ダルザスのワインは2000円から4000円台くらいの価格・値段で販売され、ダブルサイズのマグナムボトルも多く作られている。
エピソード
1574年創業のドップ・オ・ムーランはクレマン・ダルザスを生み出した歴史あるドメーヌだ。
細長い瓶にワインを詰めることでアルザスワインの知名度を上げた立役者でもある。年間生産量およそ20万ケース。
伝統的技法で作られるワインは個性あふれる辛口で、マリネ、肉料理、パスタ、和食、どんなスタイルにも合う。
“Cr?ment d’Alsace blanc” by V?ronique PAGNIER – Own work. Licensed under CC BY-SA 3.0 via Wikimedia Commons.
クレマン・ダルザスの代表的なワイン
ドップ・オ・ムーラン リースリング
ドップ・オ・ムーラン クレマン・ダルザス・ブラン・ド・ノワール白
ドメーヌ・ジュリアン メイエー・クレマン・ダルザス
クレマン・ダルザス ブリュット白 ドップ・オ・ムーラン
アーサー・メッツ クレマン・ダルザス