フランス東部ブルゴーニュ地方の最北に位置するシャブリ地区に位置するワイン産地。その中でも歴史的で高名な畑に与えられた白ワインのAOCである。1938年に認定された。
シャブリ地区内にグラン・クリュのクリマ(地区)は合計7つあり、いずれもセラン川右岸の丘陵地に位置している。
シャブリ地区は世界的な白ワインの産地として名声を築いているが、AOCシャブリ・グラン・クリュはその中でも最良とされる畑で、扇状地形の標高200メートル以上の丘の傾斜地に畑がある。ワインは、品がよく繊細且つ優美。長寿で10年は保存できる。
ブランショ、ブーグロ、レ・クロ、グルヌイユ、プリューズ、ヴァルミュール、ヴォーデジールなどが知られるが、中でもレ・クロはシトー会の修道士が最初に開拓した畑と言われており、非常に有名である。なお、グラン・クリュのブドウ耕作面積は約100ヘクタールである。
シャブリ地区はブルゴーニュの最北端に位置するワイン産地で、約20kmに及ぶセラン川の流域の小さな谷やなだらかな丘陵地にブドウ畑が広がる。北緯48度にあり気候は冷涼で、良質のワイン造りに必要な日照を得るため日当たりのよい斜面でブドウが栽培されている。
昔はこの地区一帯が海であったため、土には小さな牡蠣の化石が無数に埋もれている。この土壌はキンメリジャンと呼ばれ、ワインに豊富なミネラルを与える大きな要素であるとされ、シャブリの最たる特徴である。
味わいはもとより、この土壌の特性からも、一般的に牡蠣にはシャブリワインが合うと言われる。他のブルゴーニュの白ワインと一線を画すキレのある辛口ワインは、こうした土壌と気象に支えられている。
シャブリ地区は1978年に特有の4つの格付けがなされた。良質のものから順に、シャブリ・グラン・クリュ(特選)5%、シャブリ・プルミエ・クリュ(1級)31%、シャブリ59.5%、プティ・シャブリ4.5%、となっている。
使用品種はシャルドネ種100%。温暖な気候で栽培されたシャルドネから造られるワインがフルーティだとすると、シャブリのシャルドネはより酸味が強くキリリとした味わいである。またブルゴーニュ地方の他の白ワインと比較するとオーク樽の香りがずっと少ない。
グラン・クリュやプルミエ・クリュではオーク樽で発酵させることも多いが、一般的なシャブリワインの多くは木樽ではなくステンレス樽で発酵される。こうしたシンプルな手法が、シャルドネ種本来の持ち味を最高の状態で活かしているとも言われる。