ジンファンデル

ジンファンデルとは――味の特徴、おすすめワイン、主な産地をチェック

   

ジンファンデルアメリカのカリフォルニア州を代表するぶどう品種のひとつ。ジンファンデルからは色の濃い、果実の味わいがしっかりと感じられる骨太なワインが生まれる。南アフリカオーストラリアでも多く使用され、イタリアでは「プリミティーヴォ」という別名を持つ。

ジンファンデルの意味/品種

ジンファンデル(Zinfandel)とは、主にアメリカのカリフォルニア州で栽培されている赤ワイン用ぶどう品種。19世紀の初頭にアメリカに持ち込まれ、カリフォルニア州のナパ郡やソノマ郡を代表するぶどう品種の一つとなった。そのほか、シェラネバダ山脈の西側の山麓に位置するぶどう畑でもジンファンデルが代表的なブドウ品種となっている。この地域はシエラ・フットヒルズと呼ばれており、米国政府認定ブドウ栽培地域(AVA)で特に盛んに栽培されている。

30年近い議論の末、このジンファンデルのDNAはイタリアの黒ぶどうであるプリミティーヴォと同種であることが1990年代に判明した。このプリミティーヴォはイタリアでは南部のプーリア州やサルディニア州で広く栽培されていて、クロアチア原産のツーリエンナーク・カーステラーンスキー種であるという。

プリミティーヴォはイタリア語で「最初の」「1番目の」といった意味がある。その名前のとおり、この品種は比較的他のぶどう品種に比べて早く熟すことになる。

英名のジンファンデルについては、同名の村がサンフランシスコ郊外にあるが、それに由来するかどうかは定かでない。また、プリミティーヴォの名前は「プリミティヴ=原始的な」を由来とするという説がちらほらと見られるが、正しい情報ではない。

一方で、スペインの最も有名な黒ぶどう「テンプラニーリョ=little early one」も同様に、比較的早く熟すという意味で名前が付けられた。テンプラニーリョの歴史は古く、紀元前1100年ごろから紀元前500年ごろに古代ローマ人やフェニキア人が、イベリア半島に持ち込んだと言われている。スペインでは高品質の赤ワインの主材料として、このテンプラニーリョが使われている。

Primitivo

ジンファンデルの特徴

果粒は中程度で色が非常に濃く、果皮は薄く、中くらいの房に果粒が密集している。果粒の熟成の程度にはばらつきがあり、房全体の成熟を見極めるのが難しく、理想的な摘みごろを正確に判断するのは難しい。そのため、果粒によるが、他の果粒をはるかに上回る多くの糖分を含むことがあり、時として非常に高いアルコール度数のワインが生まれる。よって、ジンファンデルのワインには、アルコール度数が15%を超えるものもあれば、13.5%程度の比較的軽いタイプの物もある。

雨に弱く、乾燥に非常に強い品種である。どちらかと言えば濃い色調でアルコールが高めのしっかりしたボディのワインが多いため、長期熟成に向いている。しかし、現代的な方法と伝統的な方法で造られたものの差は大きく、品種としての決定的なスタイルは未だ確立されていないとも言える。

ジンファンデルからは、しっかりとした濃厚な赤ワインをつくることが可能だ。しかし、ジンファンデルのほとんどはロゼワインづくりに使われている。ジンファンデルからは明るくて淡いピンク色のロゼワインをつくることができ、このワインはホワイト・ジンファンデルと呼ばれている。

アメリカでは、ジンファンデルの約85%がこのホワイト・ジンファンデルへと姿を変える。そのきっかけとなったのは、1970年代にカリフォルニア州で巻き起こった大流行。この時期は、カリフォルニア州で生産されるジンファンデルのほとんどがホワイト・ジンファンデルに使用されていたという。

Primitivo di Manduria, Apulia (Italy)

ジンファンデルの味わい/香り

味の強いイタリアワインにあってプリミティーヴォは特に酸味が強い。木いちごなどの香りを持った強い味わいのワインだが、保護原産地呼称ワイン(DOP)には少なく、地域特性表示ワイン(IGP)クラスのものに多く使われている。

カリフォルニア州のジンファンデルはイタリアのものに比べると酸味は少なく、サクランボや黒すぐりのような香りに、クミンやコショウのスパイス香を合わせたような強い芳香がある。カリフォルニア州ではカベルネ・ソーヴィニヨンメルローと並ぶ重要な品種である。

先述したホワイト・ジンファンデルと呼ばれる明るいピンク色のロゼワインは、ミュスカやリースリングで香りを付け、ジンファンデルの黒い果皮を取り除き白ワインの製法を用いたものである。ジンファンデルが力強い味わいのワインであるのに対し、ホワイト・ジンファンデルは柔らかな味わいのやや甘口で、価格帯も低い。

ジンファンデルの普通の赤ワインは個性の強いものが多いが、それとは異なり、ホワイト・ジンファンデルには軽やかな味わいのものが多い。フレッシュなフルーティー感があり、アルコール度数も高くないものが少なくないので、男性はもとより女性への人気も高い。

力もありタンニンもしっかりしていることから、肉料理に合わせたい。味のしっかりついたバーベキュースタイルの肉や、ローストしたラムなどにぴったりだ。また、ビターで味の濃いチョコレート・ケーキにも相性が良い。

White Zinfandel

ジンファンデルの主な産地

イタリア南東部のプーリア州では18世紀中頃から栽培され始めた。この地域で育成されたジンファンデルは、プリミティーヴォと呼ばれることが多い。プーリアの中でも、主なプリミティーヴォの産地はマンドゥーリアだ。太陽などの自然の恵みを受けやすい地域であり、そこでつくられるワインはアルコール度数の高い濃厚なものとなる。

その後、アメリカ東海岸に1800年代に渡り、カリフォルニア州では1880年代後半から盛んに栽培されるようになった。2016年に統計調査がなされた結果、カリフォルニア州でのジンファンデルの栽培面積は約1万7987haであることが分かっている。特にナパ・ヴァレーで盛んに栽培されている。

カリフォルニアの一部のつくり手は、限定された地区の完熟した高品質なブドウを使い、良質のオーク小樽で熟成させる、クラシック・ジンファンデルと呼ばれる高品質なワインづくりに取り組んでいる。これは、この品種の栽培に適した地区の、完全に熟した質の高いブドウを使い、小型の良質のオーク樽で熟成させている。

また、アメリカ以外では南アフリカとオーストラリアで多く栽培され、ワインはジンファンデルあるいはプリミティーヴォという名前で販売されている。

1970年代に多くのイタリアのワイン生産者たちがプリミティーヴォでつくられたワインをアメリカ市場に投入するため、「ジンファンデル」の名前で販売をしたが、現在は反対の現象が起きている。イタリアのマンドゥーリア産などのプリミティーヴォのワインが脚光を浴びたのを見たカリフォルニアの生産者たちが、ジンファンデルのワインを「プリミティーヴォ」の名前で販売し始めた。

それゆえに、アメリカのマーケットでは、現在はアメリカ産のプリミティーヴォ・ワインや、イタリア産のジンファンデル・ワインがちらほらと見られるようになった。

ジンファンデルを使ったおすすめワイン

・ヴィントナーズ・リザーヴ ジンファンデル
1982に設立され、それから30年以上経った今、カリフォルニア屈指のワイナリーと評されるケンダル・ジャクソン。そのワイナリーが贈る最高傑作がこのヴィントナーズ・リザーヴ ジンファンデルだ。

フルボディで甘美な凝縮感がたっぷりとありながらも、重過ぎず飲みやすい安定した仕上がりになっている。
タンニンも調和が取れており、魅惑的な長い余韻に思わずうっとりできるワインだ。

・レーヴェンスウッド ヴィントナーズブレンド ジンファンデル
ジンファンデル専門のワイナリーとして設立されたレーヴェンスウッド。そのつくり手は、ジンファンデルのゴッドファーザーとも評されるジョエル・ピーターソン氏だ。ブレンドの8割がジンファンデルであるため、ジンファンデルらしい力強く大胆な味わいがある。香りはブラックチェリーやラズベリー、ブルーベリーの甘い果実香に、オーク樽のスパイシーな刺激が混じる。丸みを帯びたタンニンと程よい酸味が調和して感じられ、余韻の長いフィニッシュが続く。

・シックス・エイト・ナイン ナパ・ヴァレー レッド
ナパ郡産の赤ワインは需要が高いのと裏腹に、価格帯も高いのがネック。そんなナパ郡産のお値打ちワインの一つが、シックス・エイト・ナイン ナパ・ヴァレー レッドだ。高級ワインの部類に入るが、その価格はなんと3000円台である。

その名称になっている689という数字はそれぞれ、6=幸福、8=豊かさ、9=長寿を意味しているという。これら3つの観点の調和を目指しているのがこのワインの特徴と言える。赤い果実や黒のベリーのフレーバーと果物味が前面に現れ、その背後で甘い樽のややスパイシーなニュアンスも感じられる。タンニンは角が取れていて、非常にまろやか。少しぜいたくしたいときにおすすめしたい一本だ。

ベリンジャー・カリフォルニア・ホワイト・ジンファンデル
ドイツ人だったベリンジャー兄弟が1876年にカリフォルニアのナパ・ヴァレーで創業した老舗ワイナリー、ベリンジャー・ヴィンヤーズの自信作となる。美しいサーモンピンクの色合いをしたロゼワインで、微かな甘みのこもったフルーティーな香りと味をはじめ、爽やかで調和の取れた酸味が小気味好い。約3時間のスキン・コンタクトにより、ワインにブラッシュ・カラーをつけ、低温発酵は長い時間をかけて実施している。アルコール度数はわずか9.5%だ。

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