シャラント川流域にあるコニャックとアルマニャックは、ブランデーの産地としてたいへん有名だ。
コニャックの生産地はグランド・シャンパーニュを中心地として、そこを取り囲むように6つのクリュに分けられる。同じくアルマニャックも、バ・ザルマニャックなど3つに分けられる。

こうした産地におけるブランデーの品質は、土壌中の石灰含有量により大きく左右される。グランド・シャンパーニュの石灰含有量は35%にも達する。

2つの地域の違いは、蒸留や熟成に用いられる樽の材質などにもある。
コニャックはシャラント方式による2回蒸留なのに対し、アルマニャックは連続蒸留器による1回蒸留となる。
また、コニャックの熟成にはホワイトオーク、アルマニャックにはブラックオークが用いられる。総じてコニャックは柔らかな、アルマニャックは野性味の強い味わいとなるが、産地によっても大きく異なる。

ブランデーづくりでは、トレッビアーノと同一種のユニ・ブランが主原料となる。栽培されるぶどうにおけるユニ・ブランの割合は90%以上を占める。なお、この地のユニ・ブランはサンテミリオンと呼ばれ、特に重宝される。

【コニャック・アルマニャック地区の生産地区分】

<グランド・シャンパーニュ>
中央を流れるシャラント側の南岸、コニャックからセゴンザックまでが該当する。コニャックAOCの中では最上級。栽培されるぶどうはユニ・ブランが90%以上だが、他にフォル・ブランシュ、コロンバールなども栽培される。
グランド・シャンパーニュを名乗るには、ぶどうの栽培のみならず、ウイスキーの熟成までの全工程をここで行う必要がある。

<プティット・シャンパーニュ>
グランド・シャンパーニュの外側を囲むように広がる。シャトーヌフやバルブシュー、ジョンザックなどを含む地域が該当する。
グランド・シャンパーニュとのブレンドからなるウイスキーをフィーヌ・シャンパーニュという。グランド・シャンパーニュが50%以上含まれることが条件。

<ボルドリー>
シャラント川の北岸、ビュリーを含む範囲が該当する。土壌は石灰岩質が脱炭酸された珪質。

<ファン・ボア>
上記の高級クリュを取り囲むように指定されている。北西はサン・ジャン・ダンジェリ、北東はエグル、南東のブランザックやアングレームまでの地域を含む。
土壌は粘土石灰質の赤土(グルワ土壌)。他の地域と比べ比較的熟成が早く、ややまろやかでソフトな味わいのブランデーとなる。

<ボン・ボワ>
モンタンドルからジロンド川にまで達する広大な範囲が該当。土壌は粘土質や砂質で石灰含有量はあまり多くない。他地域のブランデーと比較して熟成期間が早いため、野生的な味わいとなる。

<ボワ・オルディネール/ボワ・ア・テロワール>
大西洋沿いの西岸や、オレロン島を含む島嶼部が該当。土壌の大半が砂質。コニャックのブランデーの中では比較的平凡な部類に入る。

<バ・アルマニャック>
ジェール県とランド県にまたがるアルマニャックのうち、オーシュの町を中心とした西部。アルマニャックの中では最も上質なブランデーがつくられ、繊細でフルーティな味わいとなる。

<アルマニャック・テナレーズ>
コンドンの北西部に位置する。土壌は粘土質石灰岩と砂質からなる。モンテュスやラ・ティルがぶどう畑として有名。腰の強い芳醇なブランデーがつくられる。

<オー・タルマニャック>
ガロンヌ川流域、大西洋沿いの地域。コロンバール種が多く生産される。他の地域と比べやや大人しい味わいとなる。