スペインはイベリア半島にある国で、ワインの生産量はフランスやイタリアに次ぐ世界3位を誇る。

一般にはヴェルデホを使用する白ワインやテンプラニーリョを使った赤ワインが有名だが、その他にも土着品種の栽培が盛んで、個性あふれるワインが国中で作られている。スティルワインはもちろん、酒精強化ワインのシェリーや、発泡ワインのカヴァも人気がある。

カスティージャ・イ・レオンはイベリア高原の北半分を占め、スペインの行政区の中で最も大きい。ぶどう栽培の歴史は紀元前から盛んで、ワイン醸造においても歴史は長く、現在もルエダやトロ、ビエルソなど重要な産地を抱えている。

このカスティージャ・イ・レオンのワインは赤ワインが多く、テンプラニーリョが圧倒的なシェアを誇る。ルビー色の外観、シルキーな口当たり、端正な骨格を持ったエレガントなワインができる。唯一、ビエルソでは土着品種であるメンシアを使ったワインがあり、こちらも質は高く国際的に有名だ。

【カスティージャ・イ・レオンの主な生産地】

<アリーベス>
アリーベスはドゥエロ川に沿って、南北にぶどう畑が広がる。固有品種のフアン・ガルシアやブルニャル、テンプラニーリョ、ルフェテ、マルヴァジア、ヴェルデホなどが栽培される。赤ワインの生産がメインで、フアン・ガルシア単一もしくは混醸で醸造される。

<アルランサ>
アルランサは州北部の同名の川沿いにぶどう畑が広がる。2007年に指定された新しいDOだ。大陸性気候により夏と冬の気温差が大きい。
テンプラニーリョ、ガルナッチャ、メンシアが栽培され、生産されるワインはテンプラニーリョ単一品種のものが多い。

<シガーレス>
シガーレスはカスティージャ・イ・レオン州のほぼ中央に位置する産地だ。大陸性気候のために夏冬の気温差が激しい。
テンプラニーリョ、ガルナッチャなどが栽培されるが、醸造される赤ワインはテンプラニーリョ単一のものがほとんどで、古樹が多いために深みのあるワインが出来上がる。一方で、近年DO呼称の白ワインは生産されていない。

<ティエラ・デ・レオン>
ティエラ・デ・レオンは古都レオンの周辺に位置する生産地。大西洋に近いため、大陸性気候と海洋性気候の両方の影響を受ける。
800mという高地でぶどうが栽培され、固有品種の黒ぶどうであるプリエト・ピクドがメインだ。

<ティエラ・デル・ビーノ・デ・サモラ>
ティエラ・デル・ビーノ・デ・サモラは、トロの東側、ドゥエロ川の沿岸に広がる生産地だ。夏と冬の寒暖差が激しく、また日照量にも恵まれる。
赤白両方にDO呼称が認められているが、現状では赤ワインが生産量のほとんどを占める。品種は、テンプラニーリョがメインだ。

<トロ>
トロはサモーラ県に位置するDOで、ポルトガルの国境と近い。メセタと呼ばれる台地にぶどう畑があり、栽培される品種はテンプラニーリョがほとんどだ。
このテンプラニーリョを使った力強いフルボディの赤を醸造しており、果実味とインパクトを併せ持った赤ワインは肉料理にぴったりだ。

<ビエルソ>
ビエルソはスペイン北西部の産地。海洋性気候の影響を受け年中温暖で、比較的雨が多い。この地はメンシアの栽培が非常に多く、メンシア種の赤ワイン生産量が全体の9割を占める。
チェリーやカシスのアロマにエレガントな繊細さを兼ね備えた上質なワインで、近年では「スペインのピノ・ノワール」とも言われている。

<リベラ・デル・デュエロ>
リベラ・デル・デュエロはドゥエロ川沿いの産地で、標高800mの高地でぶどうが栽培されている。寒暖差が激しい気候だが、この厳しい自然条件がぶどうを力強く育てる。
DOワインは赤のみで、テンプラニーリョ単一品種のワインが全生産量の8割を占める。

<ルエダ>
ルエダはマドリッドの北西に位置し、ぶどう畑は700m以上の高地にある。
白ぶどうのヴェルデホが多く栽培され、寒暖差の影響を受け、豊かな果実味とアロマを備える。ヴェルデホのみを使ったワインが全生産量の8割を占めるが、混醸も認められている。