ボルドー地方のワイン産地で、アントル・ドゥー・メール地域の南部、ガロンヌ川右岸に位置する。甘口白ワインに認められたAOCで、1936年にAOC指定を受けた。
AOCルピアックの南に位置するこのAOCは、美しい湖畔の風景を眺望できる丘の上にあり、AOC名の由来となっているサント・クロワ・デュ・モント村は、山の聖なる十字架を意味する。ブドウ耕作面積は約500ヘクタールである。ガロンヌ川の沿岸のこの地区では独自のミクロクリマの影響を受ける。秋になると早朝は湿度が上昇し、日が昇るにつれて乾燥していき、この条件が貴腐菌を育てることでブドウが貴腐化され、貴腐ワインの原料となる。
この地区で造られるワインは、ガロンヌ川の対岸に位置するソーテルヌと同様の甘口と半甘口の白ワインである。使用品種はセミヨンを主体とし、ソーヴィニヨン・ブランとミュスカデルをブレンドしている。セミヨン種は糖度が高く、厚い果皮は貴腐ブドウ化に適している。ブドウは手摘みで収穫され、短くとも収穫の翌年1月半ばまで熟成させられる。年度によっては貴腐菌がつかないこともあり、その場合はパスリエという干しブドウ状になったものが収穫される。いずれにしても糖度が高いブドウからワインが造られており、AOCサント・クロワ・デュ・モントに求められる収穫時のブドウの糖度は潜在アルコール度数で14.5%以上、甘口ワインのモワルーに分類される。醸造されたワインは短くとも収穫の翌年1月半ばまで熟成させられる。また、ワイン1リットルに残留糖分が45グラム以上あることが求められる。
このAOCのワインは、クリーミーで、ハチミツの香りのするフルーティな味わいである。甘さはやや控えめだが、長期熟成に耐える。長期熟成を経ることで、芳香と味わいは更に深まって優雅なワインとなる。