バニュルスの気候・風土
バニュルスは、南仏のワイン産地、ルーション(ラングドック・ルーション)地方南部にあり、スペインとの国境に面している。ピレネー山脈の東端に位置し、地中海に臨んでいる。
バニュルス・シュル・メールなどの4つの村が産地にあたり、傾斜40度以上もの急斜面や、狭い段丘にぶどう畑が広がる。その厳しい環境から機械が入ることができず、耕作にはロバを使い、収穫は手作業で行われる。
土壌はシスト質で、ぶどうの根が地中に深く伸びてミネラルを豊富に吸収する。気候は典型的な地中海気候で、年間300日以上もの日照を受け、糖度が高く良質なぶどうが栽培される。
また、トラモンタンと呼ばれる強風が頻繁に吹くことから病害のリスクが少なく、ぶどうの栽培に適した条件が備わっている。
バニュルスのワインの特徴
バニュルスでは、赤ワイン、白ワイン、ロゼワインがつくられる。
バニュルスは天然甘口ワインのみがAOCとして認められている。ここでつくられる赤ワインには、グルナッシュ50%以上と、補助として数種類のぶどうお品種が用いられる。
遅摘みのほとんど干しぶどう化したぶどうを用いて、伝統的な方法で熟成される赤ワインは、甘さと力強さを併せ持ち、ルーション地方の天然甘口ワインの中でも濃厚な味わいとなる。
一押しのワイナリー/当たり年
天然の甘口ワイン、AOCバニュルス生産者のうち、各方面にて高い評価を得ている作り手として、カーヴ・ド・ラベ・ルー、シャプティエ、マス・ブラン、ピエトリ・ジェロー、エ・テロワール・デュ・シュッド、トラジネールなどが挙げられる。
バニュルスは大きく4つのタイプに分けられる。まず、タンクで熟成させ果実味を優先させた「リマージュ」「リマージュ・ラ・クーム」、2番目は搾りかすと一緒に熟成させた軽めのボディの「コリータ」など。3番目は酸化熟成型の「キュヴェ・ドクトゥール・パルセ」「ヴィエイユ・ヴィーニュ」など。4番目は白ぶどうから作られる「バニュルス・ブラン」だ。中でも3番目のタイプは高級品になると数十年の熟成にも耐える。
1952年、1957年、1961年、1962年、1966年、1969年、1970年、1972年、1978年、1979年は出来が良く、高い価格・値段で取引されるものが多い。
エピソード
バニュルスは、ルーション地方でも早い時期にあたる、1936年にAOCとして認定された。また1962年には、より厳しい規制がされた「バニュルス・グランクリュ」というAOCが認められている。
バニュルス・グランクリュはグルナッシュ75%以上でつくられ、最低30カ月の樽熟成をして完成する。そうしてつくられた赤ワインは、濃厚で力強いアロマが感じられ、チョコレートとの相性が良い。
バニュルスの代表的なワイン
バニュルス キュヴェ・デュ・ドクトル・アンドレ・パルセ/マス・ブラン
バニュルス サンカン・ダージュ/ドメーヌ・ド・バヨリィ
バニュルス・グラン・クリュ /ドメーヌ・エ・テロワール・デュ・シュッド
コリウール ラ・ローズ/マス・ブラン
コリウール・ルージュ・ラ・パスコーレ/ブルーノ・デュシェン
コリウール・ルージュ ラ・ルナ/ブルーノ・デュシェン
アンプラント・コリウール・ブラン /ドメーヌ・サン・セバスチャン