赤ワインとは、一般的に黒ブドウ品種から造られたワインのこと。皮が紫色をしたブドウを原料として造られる。ブドウの果汁を皮と種ごと搾り取り発酵して造られる、透き通った赤や濃い紫、あるいは赤褐色をしたワインの総称。
赤ワインに使われるブドウ品種として特に有名なものは、フランス産のものではカベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、メルロー、ピノ・ノワール、ガメ、シラー、マルベックなどが、イタリア産のものではサンジョベーゼ、ネッビオーロ、バルベーラなどが、スペイン産のものではテンプラニーリョなどがある。ただし、各品種はそれぞれの原産国でのみ栽培されているというわけではない。日本固有の赤ワイン用ブドウ品種としては、ブラック・クィーン、マスカット・ベーリーAなどがある。
赤ワインの色は、果皮から出る色素による。ブドウの皮と種からは発酵の途中で渋味の成分であるタンニンが多く抽出され、この渋味によって白ワインに比べてより濃厚で渋みのある複雑な風味になる。コクと渋みの加減で、ライトボディ、ミディアムボディ、フルボディに分類される。
発酵によって糖が分解されるため、ワインは発酵の程度によって甘口や辛口に変化するが、赤ワインには一般的に辛口しかない。
酸味、甘味、渋味、香りのバランスが取れているものが良いとされるが、冷やすことにより香りの成分が揮発しにくくなったり苦味が増しやすかったりするといった理由で、常温で飲むのが適していると言われることもある。
またタンニンはワインの熟成において酸化を防ぐ役割があり、長期保存が可能。その過程でタンニンが高度に重合したものが澱となってビンの底に沈む。
ブドウの皮にはポリフェノールが多く含まれているため健康志向で飲む場合には赤ワインが好ましいと言われる。黒ブドウの皮と種を除いて白ワインとして造る醸造所もある。
赤ワインか白ワインかはあくまで視覚的な違いであり、明確な造り方や原料となるブドウで定義された区分けではない。
赤ワインの歴史は紀元前8000年以上前のシュメール文明に遡るとされる。グルジアで発見された紀元前8000年の土器からワインの成分が検出され、アルメニアでは紀元前6000年頃にはワイン醸造所があったことが判っている。グルジアで発祥したワインは、紀元前4000年頃には現在のイラクにあたるメソポタミアを経由してエジプトに運ばれ、その後フェニキア人によって地中海地域にもたらされ、レバノン、ギリシャを経て西洋へ広まった。